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Gary Sieling

本記事は、原著者の許諾のもとに翻訳・掲載しております。

今回は、任意の人物の所得を人口統計データを使って予測する手法をご紹介します。使用するのは 20年前の人口統計データ です。

この例を用いて、関係データベースの情報から予測モデルを導き出す方法と、その途中で起こり得るトラブルについて触れたいと思います。

このデータの優れた点は、データの作成者が下記のようなアルゴリズムの精度をデータに添付している点です。こうした数値はスモークテストの結果評価に役立ちます。

           Algorithm               Error
        -- ----------------        -----
        1  C4.5                    15.54
        2  C4.5-auto               14.46
        3  C4.5 rules              14.94
        4  Voted ID3 (0.6)         15.64
        5  Voted ID3 (0.8)         16.47
        6  T2                      16.84
        7  1R                      19.54
        8  NBTree                  14.10
        9  CN2                     16.00
        10 HOODG                   14.82
        11 FSS Naive Bayes         14.05
        12 IDTM (Decision table)   14.46
        13 Naive-Bayes             16.12
        14 Nearest-neighbor (1)    21.42
        15 Nearest-neighbor (3)    20.35
        16 OC1                     15.04

このデータセットをPostgresのデータベースに読み込むには、まずデータ作成者のファイルの一番下にある空白行と「1×0 Cross Validator」と書かれた行を削除する必要があります。

次に、下記の手法でデータを読み込みます。テストデータも同じPostgresデータベースにロードしていますが、そこは気にしないでください。

ご覧の通り、PostgresではUNCパスを指定することができます。特筆するほどのことではないと思われるかもしれませんが、VisualStudioではUNCパスを読み込むことができないことを考えると、うれしい機能ではないでしょうか。

DROP TABLE income_trn;

CREATE TABLE income_trn 
    (age INTEGER, 
     workclass text, 
     fnlwgt INTEGER, 
     education text, 
     education_num INTEGER, 
     marital_status text, 
     occupation text, 
     relationship text, 
     race text, 
     sex text, 
     capital_gain INTEGER, 
     capital_loss INTEGER, 
     hours_per_week INTEGER, 
     native_country text,
     category text);

COPY income_trn 
FROM '\\\\nas\\Files\\Data\\income\\adult.data' DELIMITER ',' CSV;

DROP TABLE income_test;
CREATE TABLE income_test 
    (age INTEGER, 
     workclass text, 
     fnlwgt INTEGER, 
     education text, 
     education_num INTEGER, 
     marital_status text, 
     occupation text, 
     relationship text, 
     race text, 
     sex text, 
     capital_gain INTEGER, 
     capital_loss INTEGER, 
     hours_per_week INTEGER, 
     native_country text,
     category text);

COPY income_test 
FROM '\\\\nas\\Files\\Data\\income\\adult.test' DELIMITER ',' CSV;

Pythonの場合、こうしたデータならSQLAlchemyを使っても読み込むことができます。ただしPostgresドライバ(”pg8000″)は不安定なため、たまに次のようなエラーが起こる場合があります。

ProgrammingError: (ProgrammingError) 
('ERROR', '34000', 
'portal "pg8000_portal_12" does not exist') 
None None

エラーの原因はさまざまですが、そのひとつとしてPostgresの旧バージョンを使用しているケースが考えられます (著者は9.3を使用しました)。旧バージョンには閉じているカーソルのデータが読み込まれてしまうという問題もあるようです。

from sqlalchemy import *
engine = create_engine(
                "postgresql+pg8000://postgres:postgres@localhost/pacer",
                isolation_level="READ UNCOMMITTED"
            )
c = engine.connect()

meta = MetaData()

income_trn = Table('income_trn', meta, autoload=True, autoload_with=engine)
income_test = Table('income_test', meta, autoload=True, autoload_with=engine)

大量のデータを処理する場合、クエリの結果をモデルの中にストリーム処理する手法はとても有効です。ただし今回はデータサイズが小さいので、ストリーム処理は行いませんでした。また、ひとつの表に全データが入っている場合には、効率よくデータ処理ができるよう、任意にデータを半分に分割する方法を考えなければならないでしょう。

from sqlalchemy.sql import select

def get_data(table):
  s = select([table])
  result = c.execute(s)  
  return [row for row in result]

test_data = get_data(income_trn)
trn_data = get_data(income_test)

このデータには、もともとテキスト型の列と整数型の列が混ざって入っていました(職業と年齢など)。意外にもPythonの機械学習ライブラリは、このような混合データの認識が苦手なようです(少なくともディシジョンツリーは苦手です)。こうしたデータは一連のvalue値のみで構成されたデータとはまったく別物なので、特別な配慮が必要になります。

問題は、ライブラリがvalue値のリストを期待しているにも関わらず元データが数値型である、というケースです。この問題を解決するには、次のようなマッピングを行うグローバルな辞書の構築が必要になるでしょう。

maxVal = 0
vals = dict()
rev_vals = dict()
def f(x):
  global maxVal
  global vals
  if (not x in vals):
    maxVal = maxVal + 1
    vals[x] = maxVal
    rev_vals[maxVal] = x
  return vals[x]

ここで、属性を2つに分割しなければなりません。ひとつは出力に、もうひとつは出力を予測するための属性に分割します。

def get_selectors(data):
  return [ [f(x) for x in t[0:-1]] for t in data]

def get_predictors(data):
  return [0 if "<" in t[14] else 1 for t in data]

trn = get_selectors(trn_data)
trn_v = get_predictors(trn_data)

この事例で最も注目すべきは、なんといってもモデルの作成が驚くほど簡単なことです。例を見てみましょう。

from sklearn import tree
clf = tree.DecisionTreeRegressor()
clf = clf.fit(trn, trn_v)

結局、テストメソッドは自前で実装することになりました。混同行列は、クラスに定義されたデータの計算が得意ではないようですね。

test = get_selectors(test_data)
test_v = get_predictors(test_data)

testsRun = 0
testsPassed = 0
for t in test:
  if clf.predict(t) == test_v[testsRun]:
    testsPassed = testsPassed + 1

  testsRun = testsRun + 1

100 * testsPassed / testsRun

DecisionTreeClassifier: 78%
DecisionTreeRegressor: 79%

最後に、scikit-learnのドキュメントをチェックしてみてください。すべての事例に ステキな図表 がついていますね。ただ、ドキュメントを読めば分かりますが、ディシジョンツリーはかなり長くなる可能性があります。何千というルールが適用されることもあるので、よほどシンプルなケースでない限り図表化には向かないでしょう。

監修者
監修者_古川陽介
古川陽介
株式会社リクルート プロダクト統括本部 プロダクト開発統括室 グループマネジャー 株式会社ニジボックス デベロップメント室 室長 Node.js 日本ユーザーグループ代表
複合機メーカー、ゲーム会社を経て、2016年に株式会社リクルートテクノロジーズ(現リクルート)入社。 現在はAPソリューショングループのマネジャーとしてアプリ基盤の改善や運用、各種開発支援ツールの開発、またテックリードとしてエンジニアチームの支援や育成までを担う。 2019年より株式会社ニジボックスを兼務し、室長としてエンジニア育成基盤の設計、技術指南も遂行。 Node.js 日本ユーザーグループの代表を務め、Node学園祭などを主宰。