2018年2月22日
優秀な面接者に共通するものとは? 数千の実例を調べてみました。- 後編
(2017-11-29)by Aline Lerner
本記事は、原著者の許諾のもとに翻訳・掲載しております。
質問する
面接後、私たちは候補者に対して、面接者が候補者を解決へと導く過程でどのくらい協力的だったかについて質問します。候補者に情報を与え過ぎることなく、不要な要素を取り除くようなヒントをタイミングよく与えるためには、多くの練習(そして多くの繰り返し)によって習得した繊細な技術が必要ですが、これはどの程度重要なのでしょうか。
結論を言えば、これができるかどうかは大変重要です。 候補者がその企業への就職を前向きに考慮するかどうかという点では、面接者が上手にヒントを与えられることには極めて高い有意性 (効果量2.95でp \< 0.00001) が見られました(前と同様に、面接がうまくいったかどうかを補正しました)。 協力の度合いと積極的な関与について、候補者が面接者に対してどう感じたかを以下に記載したのでご覧ください。この特性を定量化するのは少々難しいのですが、実際のところ、ヒントの質とは、より大きな具体的な例で表されるように思われます。つまり、本質的に対立する者同士が共同作業を行うことで、双方が当初よりも良い状態に着地できる、という考え方です ^(1) 。 毎回、そんなことは不可能だというのなら、最低限、面接の実施中は真摯に取り組み、積極的に関わりましょう。肩の上の悪魔に誘惑されたとしても、面接中に他のタブを開いてRedditを見ているようでは、良い結果は何も得られません ^(2) 。 思い出深い事例があります。面接についての話で、今までで最も的を射たものだったのは、ベテランのエンジニアとの会話でした。彼は長年、テクノロジ系の大企業で熟練したソフトウェアエンジニアとして働き、その後、もともと好きだったコーディングの仕事に戻ることにしました。彼は自身のキャリアの中で、何十年にもわたって数多くの面接に関わってきましたが、様々な形式の面接を試行錯誤した末に、優美で簡潔で満足のいく形式の面接に到達しました。 彼によると、どんな面接であれ、その目的は「私たち双方が共に賢くなることができるかどうかを確かめること」だそうです。 私はこの言葉をとても気に入っており、耳を傾けてくれる人には誰にでも、このアドバイスを繰り返しています。
高評価
冒頭で面接の構成を説明している点と、最初の質問は引っ掛け問題ではないと述べている点が良かったと思います。面接のペースを設定する上で役に立ちましたし、1問目に時間をかけ過ぎずに済みました。
面接は簡単ではありませんでしたが、実に楽しかったです。面接というより、同僚と設計について議論しているような感じでした。45分の時間枠をきっちりと埋めるように設計され、準備された問題でした。
面接者が、非常に早い段階で私の混乱した計算コードの中から問題点(タイプミス)を特定したこと、そして、非常に高いレベルの2つのヒント(「他のテストケースは試してみましたか」と「手元にある文字列の最初の部分を見てください。その文字列で、いつもはコードが正常に動きますか」)を与えて、私が自力で問題点を見つけられるように優しく導いてくれたことに感銘を受けました。素晴らしいですね。
面接者は、決して私の間違いを修正したりせずに、その代わりにいくつか質問をして、私が間違っていた分野に関して説明してくれました。とても感謝しています。
最初は、質問にかなり圧倒されるように思えましたが、面接者は問題をより小さな問題に切り分けるように上手に手助けしてくれました。そして、まずどの問題に注目するべきなのかをアドバイスしてくれました。
低評価
コーディングしている最中にあくびが聞こえて、少しイライラしました。
この面接でとても大変だったのは、作業を進めている際に、会話のやりとりが無かったことです。「そうですね、今書いたコードはいいですね」という、ちょっとした肯定の言葉さえありませんでした。この5分間に、私だけが話しているように感じたことがありました(大げさな言い方だと分かっていますが)。そのため、共同作業というより、自分の能力を披露しているようで、そのせいで最後には心臓がドキドキしました。
非常にシンプルな問題でしたが、(彼)は面接で就職を見極めるために、私を促すこともなく、やり込めようとしているようでした。私が解決に近づく過程で明らかに行き詰っていた時に、議論するか、またはちょっとしたヒントでいいから与えてもらえたら助かったのにと思います。最終的に問題の解決には到達したものの、もし面接者とやり取りができていれば、それは解答への旅や、学習的な経験のように思えたでしょう。また、テクノロジ企業でチームのメンバーと仕事をする際に、その企業が持っている協力的な文化を強く実証することにもなったでしょうし、面接を受けている私のワクワクする気持ちも高まったと思います。
面接が45分に設定されている場合、面接を受ける人はその時間を想定してくるので、質問は設定された時間枠に合わせるべきです。面接が長くなる予定がある場合には、候補者がそのための準備ができるように、事前に知らせるべきだと思います。
質問に対して私が抱いた1つの関心事は、質問を通じて面接者が私をどのように評価しようとしていたのかということです。2人でPythonのリンクリストや配列の反復について細かく話した時間帯もありましたが、面接者がどの時点で私の何を判断していたのかというのは不明でした。私は担当した面接者が、将来的には、どのような人材を探しているのかということを冒頭で概説できるようになればいいなと思っています。そうすれば、会話のポイントも明確になりますし、面接者にとっては候補者に対する適切な判断材料を持てるようにもなるはずです。
候補者に提示しようと選択した問題に対しては、想定されるあらゆるソリューションに精通するよう心がけるべきです。候補者とのコミュニケーションをより明確にするように努めてください。
優れた面接の分析
- 期待値を設定し、タイミング/ペースを管理する
- 真摯に関与する
- 問題と関連する落とし穴に精通する
- ヒントを与えることと、候補者に考えさせることのバランスを保つ
- 面接を双方の知識が自由に生かせるような共同作業の場にする
話術、そして人間性の大切さ
面接における効果的な質問の作成と行使、そして面接への真摯な(ただし、高圧的でない)関与以外に、高評価を得た面接者に共通しているものは何でしょうか。
私たちのプラットフォームでの最良の面接者に多く見られる共通性は、定量化するのは少し難しいですが、上記のように、真摯に関与して共同作業の経験を生み出すというものです。非人間的なプロセスを取りながら、それを、思考可能な2人の人間の有機的な経験に高めていきます。そして多くの場合、それは面接者自身についての何かを明らかにし、物語を伝えることにつながります。例えば、自分が働く会社のことや多くの選択肢の中から、なぜその会社で働くことになったのかといったようなこと、あるいは会社のミッションの中で特にあなたに響いたこと、または従事しているプロジェクトが、どのように自身の個人的な目標に結びついているかといったようなことです。
高評価
面接の形式が気に入りました。特によかったのは、主に最新の技術についてのディスカッションや会社の正直な説明など…。ディスカッションの部分は貴重なものでしたし、自分が会社に合うかの良い尺度になったと思います。そうしたものに重きを置く会社に出会えてよかったです。
面接全体を通じて、面接者が非常に頼りになりました。社内の技術決定やその構成のされ方など、そういった質問にも嫌な顔をせずに対応していただきました。会社の機能的な側面についての面接者自身の見解は、特に印象に残っています。
[非表示]社で行われている全てについて、非常に親切かつ寛大に説明していただきました。同社の技術的な取り組みについては、本当に関心を持ちました。素晴らしいです。
面接での質問も興味深かったのですが、一番印象に残っているのは[非表示]社に対する面接者自身の考察でした。エンジニアリング全般、特に[非表示]社で進行中の取り組みについて非常に情熱を持っておられるようです。ぜひ彼らと一緒に仕事をしてみたいと思いました。
低評価
面接の初めに、多少なりとも冗談などの軽い会話を(最低でも”こんにちは。調子は?”くらいは)していただけると、候補者はリラックスしやすいかなと思いました。
面接者に人間味が感じられず、会社の目標や使命をつかむことができませんでした。
以前の記事で書いたように、正真正銘、最も人間性の高いものの1つは、 実用的な素早いフィードバックを人々に与える ことです。すでに見たように、各面接後のフィードバックの段階で、私たちは面接を受けた人に面接者と働きたいかどうかを聞いています。それで判明したことは、”うまくできたと思うかどうか”と”面接者と働きたいと思うかどうか”との間には、非常に顕著な統計的関係(p \< 0.00005) ^(3) があるということです。これは、面接を受けた人が面接の出来に自信が持てなかった場合、面接者と一緒に働きたいという気持ちが少なくなる傾向にあるということを意味しています。拡大解釈をすると、面接のサイクルにおいては、実際にはうまくやれていたのに、そう思うことができずに入社への興味を失う候補者もいるということになります。
どうすればこうした損失を軽減できるのでしょうか。 まずは、すぐに(またはできるだけ早く)実用的なフィードバックを与えるようにしましょう。こうすることで、出来の悪さを自覚した候補者から自身を追い詰める時間を奪い去ることができ、そこで働きたくないという避けられない合理化への道を断つことができるようになります。
人間性の高め方
- 会社の事業内容について伝え、あなたが事業のどの点に感銘を受けて入社したかを伝える。
- 現在、自分が取り組んでいる仕事を伝え、自分の情熱にその仕事がどのように合致しているかを伝える。
- 候補者を気に入った場合は、彼らが自己嫌悪で自身を責めることから救うためにも、できるだけ早くポジティブなフィードバックを与える。そうすれば、合理的流れとして、彼らはあなたと仕事をしたいと思うようになるかもしれません。
- フレンドリーであること、そして多少の優しさが大きな役割を果たすことがあります。
優れた面接者になる
誰かを面接するというのは難しいことです。良い質問を考えついて相手に尋ねるのも難しいものですし、特に、延々と続く面接に放り込まれ、それに対峙しながら人間性を保つのも簡単ではありません。しかし、良い面接者になることは、とても重要です。すでに見たように、会社のブランドがあれば、人はいくらでも門戸を叩くでしょうが、いったん技術的な面接が始まれば、そうした優位も実質的にはなくなります。質問の貧相さや取り組みの熱意の欠如は、会社のブランドでは覆い隠せないのです。この業界では有能な候補者にはあまたの選択肢が与えられます。冷たいやり取りに終始したかもしれないコミュニケーションを本物に変えることができる優れた面接は、それが適切に行使された場合、有名な大企業であろうと駆け出しのスタートアップであろうと、候補者であるそうしたエンジニアたちへの魅力的なセールスポイントになるはずです。
面接をうまくやることがいかに重要であるかを踏まえて、改善するためにできることは何でしょうか。 独自の優れた質問を思いつくために私が有効だと思ったのは、ご自身のチーム内で共有文書を利用し始めることです。誰かが面白いと思う問題を解決する度に、どんなにささいなことでも簡単なメモを書き留めます。 こうしたメモを肉付けする必要は全くありませんが、それでも候補者が、あなたの会社の日常を垣間見るようなユニークな質問の種にはなり得ます。これらの散漫な種をまとめて面接の質問に変えるのには多くの考察と努力が必要で、細部を整理し、候補者が苦もなく共感できるような何かへと問題の本質を昇華させなければなりません。それが可能となるまでには、恐らく何度も試行錯誤を繰り返す必要があるでしょう。しかし、その見返りはとてつもなく大きいはずです。
この記事で見たような実用的なフィードバックを得るために(そして、すぐにレベルアップできるようになるために)できるもう1つのことは、面接者としての立場でinterviewing.ioを利用することです。 私たちの二重盲検式練習プールで面接をする場合、あなたが誰で、どの企業を代表しているかというのは誰にも知られることはありません。つまり、何の偏見もなしに、例えば質問の質やあなたと一緒に仕事をしたいと思わせられたかどうか、適度に相手を手助けできたかどうかなど、実際の面接能力を測ることができるのです。 これはまた、自身のチームを離れ、不慣れな環境に飛び込む良い機会でもあり、その中で、質が高く熱心なユーザベースに対して、新たな質問を試すことができたりもします。さらに、面接を繰り返し再生することができるので、重要な場面での自分の対応を見返し、次回への改善につなげることができるようにもなります。
候補者から正直で実用的なフィードバックを得ることができる優れた面接者になる
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関係性についての Dan SavageのCampsite rule をご存じでしょうか。私は面接についても、これに似たものでなければならないと思っています(最初に見つけた状態よりも、良い状態にして候補者を帰す)。 ↩
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時間を節約しましょう:トランプは悪い。犬はかわいい。誰かが何かを食べた。 ↩
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ここでは、より重要です! ↩
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