2016年12月6日
英政府デジタルサービスのPaaSチームが採っている、公平な会議進行のためのアプローチ
本記事は、原著者の許諾のもとに翻訳・掲載しております。
議論が、自信がある人物や一番声の大きい人物によって支配されてしまう状況に誰もが陥ったことがあるはずです。
目立たない人物や新しいグループメンバは意見を述べることを躊躇してしまいます。そうでない人も、発言するタイミングを計るばかりに議論に集中できず、やっと話す機会ができたころには内容が進んでしまっている……といったことがあります。
誰もが他人の話を遮ったり、遮られたりします。
個人的な経験から思うに、人は「思いやりが無かったり権力欲が強いがために、会話を主導したり他人の発言を遮ったりしてしまう」というわけではありません。熱心だからこそ、結果的にそのような行動を取ってしまうのです。さらには、情熱的な人が多く集まってしまうと、どのような組織においても、ミーティングが混乱したり、ポイントがずれたり、思うように進まなかったりするリスクはあります。
Stephen Hawking曰く、「物静かな人ほど、心の中はやかましい」のです。全員の意見を聞いてあげられる環境作りに全力を注ぐ必要があります。チームには物静かな人の意見も自己主張の強い人の意見と同じくらい重要であり、チームに参加できないと感じている人がいるチームはうまく機能しません。
新しいコミュニケーション方法に誘導する
Platform as a Serviceのチームで手信号を使用するアイデアは、反省会から出てきました。スタンドアップミーティングや大き目のチームミーティングが長くなりコミュニケーションが難しくなっていました。そんな時、あるメンバが手信号を使ってこの状況を打開することを提案し、皆が賛同したのです。
私たちのチームは6つの手信号を使い、以下の内容を伝えています。
- 賛成
- 反対
- 発言したい
- 直接的な返答
- 説明
- 議事進行上の問題、これは会話が脱線した時に使います
賛成を表す手信号
反対を表す手信号
発言したいことを表す手信号
特定の人物に対して返答したいことを表す手信号
発言者に対して説明を求めることを表す手信号
議事進行に係わる発言をしたいことを表す手信号
最初の1週間は、これらの手信号を使うことに対して非常に人目が気になりました。他人から見たら少し変なふうに映るからです。しかしWill Myddeltonは「おかしく聞こえることも、実行に移すのを目にすると、不思議と美しく見える」と言っています。
実行に移す
私たちのチームメンバは、チームに参加した当初は手信号が使われているのを見て戸惑ったけれど、すぐにその価値が明白になったと言いました。
手信号を身につけるのに時間がかかる人もいますが、使っているとすぐに体が覚えます。手信号で自然に返事ができるようになるためには訓練する必要があり、どの手信号を使うべきか覚えなくてはいけません。
私たちは、今では日常的に手信号を使っており、スタンドアップミーティング、企画会議、反省会または緊急のディスカッションなどで3人以上のメンバがいる時に使っています。しかし、チーム外の参加者がいる時には使わないようにしています。なぜなら、それは別の言語を使ってその言語を話せない人の目の前でディスカッションをするのと同じようなことだからです。
手信号を高く評価する
手信号を使うと多くの利点があります。実に均等な機会を与えてくれますし、自信をつけるために役立つ方法にもなり得るでしょう。
会話の流れが改善されました。賛成なのか反対なのか、言わなくても明らかです。話者が誰であっても遮られることなく自由に話し終えることができますし、話している時にフィードバックを得ることもできます。
ミーティングに費やす時間は同じですが、以前よりもディスカッションに集中し、確実により多くの内容に触れています。会話に飛び込むタイミングを気にせずに、みんな発言することができます。
私は私生活において、つい手信号を使ってしまうことはありませんが、会議やセミナーなどの大人数が居るときは手信号が恋しくなります。
手信号は私たちにとっては効果的な手段ですが、グループ内でコミュニケーションをとるための手段のひとつに過ぎません。もしあなたのチームが他のアプローチを導入しているなら、ぜひコメント欄でシェアしてください。
株式会社リクルート プロダクト統括本部 プロダクト開発統括室 グループマネジャー 株式会社ニジボックス デベロップメント室 室長 Node.js 日本ユーザーグループ代表
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