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jazzychad

本記事は、原著者の許諾のもとに翻訳・掲載しております。

昨日(7月28日)、Jared Sinclairが、彼が作ったアプリUnreadのダウンロード数と売り上げの数字を 包み隠ずに述べた記事 を掲載しました。こんなに正直な投稿、そしてインディーズアプリの開発にあれほどの時間を費やしたのに、望んでいたような数字を結果として得られなかったことを公に認めたのを見て、すがすがしさを感じました。

私もインディーズアプリを作るに当たって、同じことを経験してきました。

しかも私が作っていたのはインディーズのゲームアプリでしたから、さらに分が悪いです。以下に、この1年にリリースした3つのiOSゲームの数字を公表します。

先に言っておきますが、結果は良くないです。

はじめに

これらのアプリは、夜間や週末を使ってサイドビジネス的に作ったものです。当時、私はTwitter社の正社員で、これらのアプリの出来にかかわらず生活は成り立っていました。とはいえ、私の目標は異なる収入モデルを試して常に収入を得ることであり、単に遊びでやっていたわけではありません。

すべての数字は2014年7月28日現在のものです。

Tetra

Tetra は、 Quarto をベースにした2人のプレーヤーによる非同期型ボードゲームです。このゲームでは、ゲームの状況処理と対戦にGame Centerを使います。

以下のような理由で、できるだけ Lettepressのユーザインターフェース(UI)を真似る ようにしました。

  • 使いやすいUIで、このUIを気に入っている人が多い。
  • UIKitを使ってUIイズムを再び作れるかどうか、自分には難しいと思われた。
  • 私がLetterpressのUIに似せたアプリを出せば、論争を引き起こすことも、それが宣伝効果をもたらすことも分かっていた(実際にそうだったが、期待したほどではなかった。前もってLorenには話しておいたが、彼は冷静で、私のアプリの成功を祈ってくれた)。

収入モデル: 無料アプリ。200円のアプリ内課金で一度にゲーム全体のロック解除ができる

初回コミット: 2013年5月11日

バージョン1.0.0の出荷: 2013年8月9日(3カ月)

リリース: 2013年8月22日

総ダウンロード数: 26,830

アプリ内課金でのゲームロック解除数: 186

総収入: 26,600円

掲載記事: 数件。 ブログやアプリ関連サイトでレビューを書いてもらうチャンスを広げるために、Erica Sadunが書いた PitchPerfect を読みました。宣伝メールを出したところ、Ericaから返信をもらいました。でも、最終的に、非公式なAppleに関するブログであるTUAWにレビューは載りませんでした。 AppAdvice や、その他のところで、何件かレビューを載せてもらいましたが、狙っていたような大々的なものではありませんでした。

備考:リリースから1週間後、Tetraはアジア系のアプリストアのゲームカテゴリで、“新着”“話題のアプリ”として取り上げられました。これによってダウンロード数は大きく増え(レビュー記事から考えたら想像もできない数です)、26,830件のダウンロードのうち21,309件(79%)が海外からでした。でも、186件の有料でのロック解除のうち、海外からは74件(39%)だけでした。これは、国内ではダウンロードした5,521人のうち112人(2%)が有料でのロック解除をしているのに対し、海外ではダウンロードをした21,309人のうち、たった74人(0.3%)しか有料でのロック解除をしていないということになります。

Letterpressの人気、またそれによってようやく多くの人がGame Centerを使うようになったにもかかわらず、Tetraが多くの人に受け入れらなかったこと、多くの人にとって使いにくいものであったことが分かりました。フローをシンプルにするために1タップで済む新しいマッチングUIを作ったのですが(AppleのStockUIだと5タップしなければならないのです)、それでもほとんど効果がありませんでした。

WordGrid

WordGrid は、Letters(後述します)に取り組んでいる最中に作ったゲームです。Lettersに行き詰まっていて、何かをすぐに世に出したかったのです。そこで1週間でゲームを作ることを自分に課しました。それでできたのが4×4マスのワードパズルで、4個の4文字単語の文字をスクランブルすることで、各レベルがランダムに生み出されるようになっています。

収入モデル: 有料アプリ。100円前払い

初回コミット: 2013年10月13日

バージョン1.0.0の出荷: 2013年10月20日(1週間)

リリース: 2013年10月28日

総ダウンロード数: 260

総収入: 18,400円

掲載記事: なし。 ただしこれは意図的なものです。1週間で作ったアプリにマーケティングキャンペーンを張るような力を注ぐつもりはありませんでした。

Letters

Letters は、アーケードゲーム風のワードゲームで、ScrabbleとBoggleをミックスしたようなものです。Dotsというゲームの人気が出た時に、友人から「みんなワードゲームが好きだから、Dotsのワードゲーム版を出すべきだよ」と言われたことにヒントを得て、これを作りました。

これは、1人でプレイできるゲームです。でもソーシャル機能によるランキングが使え、プレーヤーは友人のスコアと比べることができます(これはTetraの教訓です。人々はゲームの順番待ちが好きではないのです)。

収入モデル: 無料アプリ。510円でアプリ内課金の消費型カレンシ数枚と非消費型の2倍ポイントが付く

初回コミット: 2013年8月31日

バージョン1.0.0の出荷: 2014年4月6日(7カ月)

リリース: 2014年4月17日

総ダウンロード数: 1,883

アプリ内課金による購入数: 20

総収入: 5,800円

掲載記事: ゼロ 。これは全く意図していなかったので、実はかなり落ち込みました。スクリーンショット、プロモコード、1分間のデモ動画を付けた、練りに練った宣伝メールを送ったにもかかわらず、結果は惨敗。まったく、腹立たしい!

備考:メディアに取り上げられなかったこともあり、このアプリはリリース当初からさびしい売れ行きでした。レビュアーに対しては最初の週からダウンロード数を入れたフォローのメールを何通か送りましたが、1件もレビューが掲載されませんでした。このアプリは、仕上げ、機能、ゲームシステムにも時間をかけ、自分では最高傑作だと思っていただけに、これには参りました。しかし、プレイしてくれた皆さんからの評価は好意的で、平均プレイ時間は10分前後と、モバイルゲームとしてはまずまずの結果です。

今でも、Lettersはワードゲームの世界的ヒットとなる可能性を秘めていると思っていますが、問題は、ランク入りのためのマーケティングに充てるような余剰資金がないということです。レベニューシェアのパートナーやマーケティングに協力してくれる投資会社を探しましたが、見つかりませんでした。

今のところLettersに対する反応が芳しくないことは認めざるを得ません。まだ諦めてはいませんが、一体どうすればいいのか分かりません。

総売上

総売上: 50,800円

結果

サイドビジネスとしてなんとか年間50,800円稼ぐことができましたが、状況はさらに悪化しました。マーケティングを仕掛けるため、FacebookとTwitterのモバイル広告に 72,000円 近くも払ったのです。さらに、開発とテスト用にiPad miniとiPod Touchも買いました。こうなると、もはや泥沼です。

結局、すべてのアプリで採算が合わなくなったため、アプリ開発は単なる趣味にせざるを得なくなりました。

教訓

3つのアプリとも、ダウンロード数の半分はリリース後の1~2週間で獲得したものです。しかしその後のダウンロード数は落ち込んでいます。
App Storeのゲームのカテゴリには、大手のゲーム会社だけでなく、評価が高くファンも多いインディーズ会社までひしめきあっています。そこに飛び込めば、熾烈な争いになることは明らかです。私が目指したのはゲームアプリ界のロングテールとなる作品を生み出すことでした(が、なれませんでした)。私はアプリの世界、ましてやゲームの世界では無名の開発者にすぎず、作品を軌道に乗せるためのレビュアーやゲームのコミュニティとのつながりがなかったのです。もはや宝くじにでも当たらないと、App Storeの世界に躍り出るのは無理かもしれません。

監修者
監修者_古川陽介
古川陽介
株式会社リクルート プロダクト統括本部 プロダクト開発統括室 グループマネジャー 株式会社ニジボックス デベロップメント室 室長 Node.js 日本ユーザーグループ代表
複合機メーカー、ゲーム会社を経て、2016年に株式会社リクルートテクノロジーズ(現リクルート)入社。 現在はAPソリューショングループのマネジャーとしてアプリ基盤の改善や運用、各種開発支援ツールの開発、またテックリードとしてエンジニアチームの支援や育成までを担う。 2019年より株式会社ニジボックスを兼務し、室長としてエンジニア育成基盤の設計、技術指南も遂行。 Node.js 日本ユーザーグループの代表を務め、Node学園祭などを主宰。