POSTD PRODUCED BY NIJIBOX

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Aashish Sharma

本記事は、原著者の許諾のもとに翻訳・掲載しております。


多くの人が気付かないうちにWeb2.0からWeb3.0への移行が進みそうです。アプリケーションの見た目は現在使っているものとほとんど変わりませんが、バックエンドで変化が進んでいきます。未来を予測する人ならば、クラウドを使うSiacoin、ソーシャルメディアのプラットフォームとしてのSteemit、さらに未来を予想する手段としてAugurも頭に浮かぶのではないでしょうか。

適正に動く最初のブロックチェーンがリリースされたことを見れば、人々がWeb2.0を離れWeb3.0へ向かっているのは明らかでしょう。なぜなら、開発者というのはテクノロジーとWeb2.0のユーザーフレンドリーな手法を身につけても、更に使いやすいと考えられているWeb3.0に着手しようとするからです。

上の図の分布では、いろいろな企業とWeb2.0のセグメントが示され、ブロックチェーンに基づいたプロジェクトのどれに勝ち目があるか、Web3.0への変革を導いてくれるかが分かります。

現在使われている支払い方法は、通常、クレジットカード会社、銀行、更にPayPalを介したものでしょう。これらの方法は、入金を受けたり、確実に正しく送金したりするための信頼できる場となっていますが、同時に処理過程の盗難防止策を維持しなければなりません。

こういった種類の仕事はどれも運営側に多大なコストがかかるものです。この手の必須のコストとセキュリティのため、私たちが利用しようと考える企業には非常に高い手数料がかかり続けています。

Ready Steady Sell のDavid Sessfordによると、仮想通貨の登場によってセキュリティの多くの問題が消え、処理にかかるコストが非常に低くなります。いくつかの仮想通貨は現在世界中で使われており、例えばZcash、Monero、Bitcoin、Litecoinなどがあります。全てのユーザはインターネットへのアクセスとウォレットの機能がある端末を持てばよいのです。製品を販売するには、例えばBitpayにアクセスし、自分の支払いの仕組みの中に仮想通貨を組み込むだけです。

これで処理がスムーズになるのですが、仮想通貨を使わない方法もあります。つまり、仮想通貨の価値に基づいて最近世界中に登場している仮想通貨の取引以外に、今までの慣れたやり方の取引にも利用できるのです。

Stellar Lumensは、銀行、ユーザ、更に支払いシステムもつなげて支払い方法の分断をなんとかしようとしている会社です。これによって世界中の処理が速くなるでしょう。仮想通貨が必須というわけではなく、あらゆるタイプの通貨が使用できるのです。Stellar Lumensを利用すれば、仕事を終わらせるのに仮想通貨を使ったとすら気付かないでしょう。なぜなら、処理が通貨のバックエンドで行われるからです。

もう1社、Request NetworkがPayPalの大きな競争相手の企業として見られています。これは、いつでも誰に対しても支払い要求を行えるというプラットフォームです。支払いにはブロックチェーンを使います。おかげで第三者が排除されることなりますが、それでも確実にセキュアな支払処理がなされます。

Request Networkが他よりも優れているのは、人々はまだ仮想通貨を使いたがらないという現実を分かっていることです。これを踏まえて、どの通貨でも人々が使いやすくなるようにいろいろなプログラムを実装しました。しかし、ブロックチェーンの技術を使うことによって実際にRequest Networkははっきりと安い料金で処理ができ、非常に優位な位置にいます。

ほとんどの人が今後もソーシャルメディアを使い続けるつもりでいると思いますが、このソーシャルメディアのあり方には深刻な問題があります。既に私たちはその現実を目のあたりにしています。例えば、Facebookが起こしたスキャンダル、InstagramやTwitterが強制的に表示させるために使っているメカニズム、更には広告の出し方などもそうです。

ここで論じるべき主題は、こうしたサイトであなたが保有している情報が、いかにして、あなたの意志に反して使われたり、簡単にプライバシーを侵害したりしているのかということです。例えば、あなたは友達に自分のブラウザ履歴を調べられたくはないはずです。それなのに、ソーシャルメディアのサイトがあなたのCookieをスキャンして履歴を調べ、更にその履歴に基づきプロフィールを作って販売してしまうのです。

猫がかわいいというのもありますが、私たちが電話を使う目的は、自分たちが楽しむため、そして普段なかなか話せない友達と連絡を取り合うためです。ですから、このような問題があるからといってソーシャルメディアを離れるわけにはいかないのです。

ソーシャルメディアの新たな時代、Web3.0への道を切り開こうとしているのがブロックチェーン技術ですが、この技術を用いたソリューションになると考えられるものにSteemitがあります。このプラットフォームには、コンテンツの作成者がグループ分けされるという独自のモデルがあります。コンテンツの質が良いものなら票が入り、ここで使われている通貨、 Steem で少額取引が発生するという仕組みです。

このプラットフォームは、広告もなければ、ユーザに関する情報を格納することも、投稿された情報を検閲することもありません。積極的に活動している人なら、仮想通貨で報酬を受け取ることもできます。この技術を用いた先駆者と言えるのがSteemitですが、YouTubeに代わるものとして、ブロックチェーンをベースにした DTube もあります。

良くない側面としては、Steemitの成功が多くの競争を招いていることです。今後、明らかになってくると思われる競合相手の1つが、美しくデザインされたWebサイト、Narrativeです。Steemitと似たようなサイトですが、Narrativeではニッチというトピックを作成するユーザが管理します。また、Narrativeはサイトの一部をブランド化することを決定しました。ブランド化すると、質の良いコンテンツが人目に触れるようになり、それらをプラットフォーム上に拡散していくことができるのです。

ニュースのプラットフォーム、 Sapien もあります。LinkedInに置き換わるIndorse、更にソーシャルメディアでありながらプライバシーにもかなり配慮された素晴らしいプログラム、ONG.Socialもあります。

普段、私たちが利用しているエンターテインメントが素晴らしいものに置き換わっていきますが、それらを提供する様々な企業を見ていったとき、NetflixとYouTubeに注目しないわけにはいきません。これらの企業が市場を支配し、競争の余地があまり残っていないという現実は最悪な状態と言えます。そのため、人々は多くのコンテンツを作成しますが、企業がそのデータを収集し販売することができてしまうのです。

ユーザが、こうしたプラットフォーム上でコンテンツを公開すれば大ヒットにつながるかもしれないと期待していることはよくあります。しかし、彼らが作成したコンテンツへの対価は支払われていないことがほとんどです。YouTubeが行っている様々な検閲、支払いの計画がどう変更されるのか、Spotifyがそのサービス向けに楽曲を提供してくれるミュージシャンに対しいくら支払っているのかといったことまで、人々が疑問を持ち始めている現実もそのうち見えてくることでしょう。

多くのブロックチェーンを用いたプログラムにより、こうした状態に終止符が打たれようとしています。音楽業界には、不公平な取引に泣かされてきた人たちが現実に多くいました。そのため、この業界は本気でこの問題を解決しようと先頭に立って動いています。ミュージシャンのImogen Heapはブロックチェーンに基づく自身のプロジェクトを開始しました。この Mycelia というプロジェクトは、ミュージシャンや曲のクリエイターに、彼らが作った音楽に対して公正な対価が支払われるよう意図して作られています。他にも、非中央集権的でアーティストがファンとつながりやすくなる素晴らしいプラットフォーム、Voiseもあります。

イーサリアムを使ってYouTubeを廃止しようとしている企業にはFlixxoもありますし、Steemを使うDtubeも。YouTubeを引きずりおろす候補としては他にも、ICOで約39億円の大きなトラクションを得たスタートアップ、Videocoinもあります。

ストレージソリューションを探しているのであれば、クラウドストレージという素晴らしいソリューションがあることに気付くでしょう。ファイルの保存やハードウェアの確保が安価で簡単にでき、しかも世界中のどこからでもアクセスできます。

クラウドストレージの問題点は、誰もがアクセスできる1つの場所に全ての情報を集中的に保存するところにあります。いかにクラウドがセキュアであっても、1つの企業がそれを所有していれば、問題も一箇所に集中してしまいます。つまり1つの企業が危機に陥りやすく、いったん事が起きると個人データの全てが世の中にさらされてしまう可能性があります。

こうした状況から、ストレージにも非集中化の時代が訪れています。この領域では、Siacoinが最大の企業として成長しています。Siacoinは余剰ストレージを持つ人がそれを貸し出し、仮想通貨で対価を得ることを可能にしています。既にGoogleやAmazonよりも安価であることを考えれば、将来驚異的な成長を遂げる可能性のある会社だといえるでしょう。

Filecoinと呼ばれるスタートアップもあります。これは大規模なICOにより、史上最大級の約289億円を調達した企業です。非集中型のネットワークによるファイル保存の仕組みを低価格で提供しています。Storjもこの分野に参入している企業で、低価格かつユーザのみがデータにアクセスできる高いセキュリティを実現する優れた計画を打ち出しています。

現在用いられているオンライン広告モデルは適切に機能していません。YouTubeやFacebookなどのサイト上で広告を出している企業のページを見るとしばしばこのことに気が付きます。あなたがビッグビジネスのためのWebサイトを運営しているとして、ユーザに登録を求めたなら、すぐにユーザを失ってしまうでしょう。多くの場合お金を稼ぐ一番良い方法は、サイトに広告を表示させ、トラフィックを増加させて広告収入を得ることです。

広告の欠点は、ほとんどの場合人々は広告を見ていないということです。人々が広告を見ていないだけでも最悪ですが、その上アドブロッカーを使用して広告を表示させない人もいます。収益のほとんどを広告から得ているGoogleでさえ、広告をブロックするChromeブラウザの拡張機能を提供しています。

変化が生じるとすれば、表示されている広告をクリックする人たちの貢献度ではなく、サイト訪問者の貢献度を収益化することでしょう。いくつかのブロックチェーン企業がこれに取り組んでいます。現在これに取り組んでいる中でも最大手と言えるのが、Basic Attention Tokenです。この企業はコンテンツの制作者と広告主、消費者を、大手企業を介さずに結び付けるための仕組みを提供しています。

Basic Attention TokenはBraveと呼ばれる独自のブラウザまでも提供しています。このブラウザでは、ユーザは気に入ったコンテンツの制作者に少しだけ寄付を行うことができ、広告主は消費者が注意を払ってくれたことに対して報酬を支払います。この処理は全て人の目に見えないところで行われます。

Oyster Pearlsという別のオンライン広告モデルもあります。このモデルではコンテンツの閲覧者が、自分の好きなWebサイトが少しでも広告に依存しないで済むようにGPUとCPU(の計算能力)を提供します。加えてOyster Pearlsでは、Webサイトとコンテンツ制作者の情報を非集中型プラットフォームに保存することで、より低コストかつセキュアな仕組みを実現しています。

インターネットを機能させるためのSubstratumという大規模プロジェクトも進行しています。非集中的なWebのための計算リソースを個々人が提供することを可能にしており、単一の組織からのいかなる検閲や管理も受けません。

Substratumの維持に貢献すると、ユーザは報酬として仮想通貨を受け取ります。そして普通のブラウザ上で何の干渉も受けることなく、本来見ようとしているコンテンツを閲覧できます。この仕組みが、政府から弾圧を受けている人々に何をもたらせるのかを考えてみてください。

監修者
監修者_古川陽介
古川陽介
株式会社リクルート プロダクト統括本部 プロダクト開発統括室 グループマネジャー 株式会社ニジボックス デベロップメント室 室長 Node.js 日本ユーザーグループ代表
複合機メーカー、ゲーム会社を経て、2016年に株式会社リクルートテクノロジーズ(現リクルート)入社。 現在はAPソリューショングループのマネジャーとしてアプリ基盤の改善や運用、各種開発支援ツールの開発、またテックリードとしてエンジニアチームの支援や育成までを担う。 2019年より株式会社ニジボックスを兼務し、室長としてエンジニア育成基盤の設計、技術指南も遂行。 Node.js 日本ユーザーグループの代表を務め、Node学園祭などを主宰。