色彩心理学:マーケティング担当者のための完全ガイド

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色彩心理学について最も分かりやすく書いている解説書にようこそ。

色の持つ意味のみを知りたい方は、直接へと移ってください。

しかし、この記事では色彩の意味のみならず、日常生活にどのように適用できるかなど色彩心理学を深く掘り下げています。

今までは、色の情報は疑似科学(つまり、逸話的な戯言)によって汚されていました。

このような正確でない情報を正すため、私は色に関する50もの学術論文を読み漁り、最終的には、実に信頼性のある興味深い発見をしました。

この記事はそれらをまとめたものです。

PDF:この記事は6,528ワードです。後で参照できるよう、PDF版をダウンロードしてみてください。
(訳注:元記事の同箇所のリンクから名前とメールアドレスを登録することでダウンロードできます。)

私の調査結果を次の表にまとめました(拡大版は表をクリックしてください)。次に色の選択に迷うようなことがあったら表を参考にしてください。

full-color-table2

(画像・部分訳
Marketing Applications マーケティングへの適用
Color Dimensions 色の特質
Hue 色相
Value 明度
Chroma 彩度

Level of Arousal
覚醒の度合い
Relaxed くつろぎ
Excited 興奮した状態
Type of Processing
処理方法
Systematic 計画的
Heuristic 試行錯誤的
Selling Mechanism
販売の仕組み
Auction オークション
Negotiation 交渉
Brand Traits
ブランドイメージ
Competence 能力
Excitement 興奮
Ruggedness 丈夫
Sincerity 誠意
Sophisticated 洗練
Intended goal
意図した目標
Attention 注目してほしい
Action 実行してほしい
Liking 好意を抱いてほしい
Type of Product
製品の種類
Utilitarian 実用的な製品
Hedonic 快楽的な製品
Message Framing
メッセージの姿勢
Prevention 守り
Gain 攻め
Gender
性別
Male 男性
Female 女性

)

この表は表面的なものでしかありません。記事は3つのパートに分かれています。

パート1:色彩心理学では、色に関する科学的、学説的見解を説明します。

パート1の情報はすぐに役に立てられるわけではありません。しかし、続くパートで提案する実用方法の根拠となります。

パート2:マーケティングへの適用では、どのように色彩心理をマーケティングに応用すれば良いか説明します。各セクションで上の表の項目について説明し、特定の状況に適した色の選び方法を教えます。

パート3:まとめるとでは、それぞれのパートで挙げた情報を統合し、しっかりした戦略を立てることができることを説明します。

パート1:色彩心理学

色はどこにでもあります。

どこを見ても周りは、青や赤、黄や緑など、多くの色であふれています。私たちは色に包まれています。

テーマとしてはとても広範囲なので、大量の研究が行われていると思いませんか?

実はそうでもないのです。

Google Scholarで”color psychology(色彩心理学)”を検索すると、結果として出てきた論文は2,480本でした。この結果がどのようなことを意味するのか理解するために、他の単語でも検索をしてみました。

color-psychology-vs-other-searches
訳注:
男性下着 / 色彩心理学 / 豊胸

色彩心理学は男性の下着に関する研究と同程度、ということです。

(これは、無視してもいいでしょう? そう、無視しましょう。)

入手できたひとにぎりの研究論文に目を通した後、色が与える心理的影響を表現したモデルを作成しました。それをKolendaカラーモデルとしました(悲しいことに自己陶酔的な名前を付けてしまいました)。

モデルでは、人がどのように色を評価するのかを説明しています。まだこの段階では各要素を理解できないと思いますが、このモデルを少しずつパーツに分けて説明していきます。

kolenda-color-model
訳注
Kolenda Color Model Kolendaカラーモデル
Hue 色相
Value 明度
Chroma 彩度
Perceive color 色の知覚
Biology 生物学
Cool color 寒色
Warm color 暖色
Arousal reaction 覚醒反応
Associative Learning 連想学習
Ecological valence 生態学的誘発性
Attribute Meaning 性質的な意味
Evaluate color 色の評価
Aesthetic 美的感覚
Appropriate 妥当性
Value 価値
Negative Evaluation 否定的な評価
Positive Evaluation 肯定的な評価

パート1を読み終えれば、これらパーツが何を意味するのか理解できると思います。

色の構成要素は何なのか?

上のモデルの根拠を理解するには、色の視覚的性質を構成する要素を理解する必要があります。

例えば、次の色は全て青です。
blue-color-variations
しかし、全て違って見えます。なぜなのでしょうか?

マンセルカラーシステムMunsell著、1912年)によると、色には3つの要素があります。

  1. 色相
  2. 明度
  3. 彩度

1. 色相(Hue)

色相は一般的な色の名前です。

hue-examples
マーケティング担当者の多くが気にかけるのは、色相のみなのです。これは大きな間違いです。研究結果によると、この他の2つの要素の方が人の感情に大きな影響を与えられるそうです(Suk、Irtel共著、2009年)。

2. 明度(Value)

明度は明るさの度合いです。色が暗い明るいかを表します。

  • 明度の低い色暗い(濃い色合い)
  • 明度の高い色明るい(薄い色合い)

color-value-example

3. 彩度(Chroma)

彩度は色の鮮やかさです。色の鮮明さを表します。

  • 彩度の低い色色あせ
  • 彩度の高い色鮮やか

color-chroma-example

繰り返しになりますが、明度や彩度は多くの場合において色相よりも重要になります。マーケティングにおいては良い結果をもたらしてくれます。

色相の選択肢が限られているブランドマネージャも、特定の色相の中で明度や彩度を変更することで望ましいブランドの特徴を出すことができるのです。これらの発見はそういったブランドマネージャのために特に役立ちます。
Labrecque著、2010年、81頁)

色の明度や彩度を調整したい場合、多くのソフトウェアに次のような機能があります。

chroma-and-value

なぜ色によって好みがあるのか?

世界中の人が”一番好きな色”に一番多く選んだのが青です(Valdez、Mehrabian共著、1994年)。これはなぜでしょう? そしてなぜ黒や灰色、茶色が選ばれることが少ないのでしょう? 色に対する好みはどこからくるのでしょうか?

研究者は主に3つの学説を挙げています。

  1. 生物学・進化論
  2. 性別スキーマ理論
  3. 生態学的誘発論

1. 生物学・進化論

人は本来の生物学的メカニズムにおいて色に対する好みを発達させます。これは主に進化によって起きることです。

人が色と物事を関連付ける行為は、人類の歴史の早い段階において、深い青から夜を連想したことに端を発したのではないかと研究者は示唆している。そのため人は、太陽光と覚醒を受動性と明るい黄色に関連付けるようになったのではないか。(Grossman、Wisenblit共著、1999年、2頁)

color-evolution-biology
更にこれは、男性は青を好み、女性はピンクを好むことに理由にもつながります。この違いは、狩猟採集の考え方に根付く進化的偏りから生まれたものだと研究者は主張します(Hurlbert、Ling共著、2007年)。

その昔、採集は女性が行っていました。女性は赤や黄色のフルーツと緑の葉を区別しながら食べ物を探す必要がありました(Regan、その他著、2001年)。結果的にこの役割が女性の色の好みを左右したと考えられています。

色覚、特に赤の波長を識別する能力は、資源を保護する者(男性)より採食者(女性)にとって適応する上でより重要となる。そのため、現代の視覚的偏りや好みに関係してくる(Alexander著、2003年、11頁)。

言い換えると、祖先の「食べ物を採集する」という役割から女性の脳は赤いものを好むように発達したのです。

hunter-gatherer-color-theory
画像訳:女性の赤色調への好みの強化

強引でしょうか? かもしれません。確実に進化は色への覚醒反応(後の方で説明します)に影響していると言えます。しかし、色の好みに関しては、次の2つの学説の説明の方が期待できるでしょう。

2. 性別スキーマ理論

性別も色の好みに影響します。なぜでしょうか? それは、性別スキーマ理論に基づきます。

子供はいったん自分の性別を認識すると、自分の性別に関する情報を積極的に探し、情報を吸収し、性に対する考えを構築するのである(LoBue、Deloache共著、2011年、658頁)。

大人は幼い子供に性の既成概念を押し付けます。

  • 男の子には青い色の服を着せる
  • 女の子にはピンク色の服を着せる

子供はこのことから”男性”と”女性”の知識を構成します。
gender-schema-theory
子供は自分の性に一致するよう、男の子は青に引かれ、それに対し女の子はピンクに引かれるのです。

ある研究で、ピンクを好むまでの過程を知るため、年齢の異なる子供(7カ月から5歳までの幼児)を分析しました。

結果はどうだったのでしょうか。子供は成長するにつれ、女の子はピンクに強く魅了され、反対に男の子はピンクに興味を示さなくなります(LoBue、Deloache共著、2011年)。性に関する情報の吸収は、子供たちの色の好みを左右します。

3. 生態学的誘発論

ここまでの2つの学説で、色の好みについて少し説明されました。しかし、これらの説明では限界があります。

例えば、薄い青や濃い青などの色相の違いによってなぜ人の好みは変わるのでしょうか? 多少の違いはあるものの、人は誰もが同じ生物学的組成を持っているため、色の好みも同じにはならないのでしょうか? 好みの違いはどうして生じるのでしょうか?

生態学的誘発論Ecological valence theory, EVT)によって説明することができますPalmer、Schloss共著、2010年)。この説によると、色に関係する感情的経験を重ねることで、色に対する好みが発達します。

特定の色に対して楽しい思いや肯定的な感情を持つことで、その色を好む傾向にある(Palmer、Schloss共著、2010年、8878頁)。

この傾向は、古典的条件付けが裏付けています。ある研究で、異なる色のペンと心地よい音楽や不快な音楽と組み合わせる実験をしました。すると、実験後、心地よい音楽に組み合わせた色のペンを持ち帰る可能性が高いことが分かりました(Gorn著、1982年)。

さらに、この説で性別の違いを説明することができます。衣服の観点から考えるのではなく、おもちゃの観点から考えてみましょう。

  • 男の子青い色のおもちゃを与える
  • 女の子ピンク色のおもちゃを与える

ecological-valence-theory
幼少期から子供は肯定的感情をそれぞれの色に対して持ちます。男の子は青に対して肯定的な感情を持ち、反対に女の子はピンクに肯定的な感情を持ちます。このような肯定的感情も同じく、子供たちの色の好みを左右します。

どのように色は意味を持つのか

生態学的誘発論によって、色が感情に与える影響を説明しました。では、色はどのようにして意味論的意味を持つのでしょうか? なぜ赤は情熱やロマンスを連想させるのでしょうか? また、なぜ黒は哀悼を連想させるのでしょうか?

これらの答えは、連想回路論にあります(Bower著、1981年)。

人の脳には連想回路という知識網が張り巡らされています。

associative-network
この回路では、丸いノードが知識を象徴し、次のように分類します。

  • 感情(例えば、幸福感)
  • 知覚的経験(例えば、海の香り)
  • 意味論的意味(例えば、”ビーチ”)

これらノードは別のノードと一定の類似性に基づいてつながっています。類似性が強いほど、つながりも強くなります。

例えば、車のノードは他の多くのノードにつながっています。

  • 強いつながり(例えば、タイヤ、運転、道路)
  • 弱いつながり(例えば、電車、ラジオ、金属)

associative-network-car
訳注
Weaker connections 弱いつながり
Trains 電車
Radio ラジオ
Metal 金属
Car 車
Stronger connections 強いつながり
Tires タイヤ
Driving 運転
Roads 道路

生きている上で、人の連想回路は常に成長しています。新しい経験をすることで、(a)新しいノードを構築し、(b)新しいつながりを作成するか、(c)既存のつながりを強くします。

それは分かったけど、これがどう色に関係するの?

と思われていると思います。

色のノードも人の脳にあります。色に遭遇するたびに、経験に基づいて色のノードを更新します。

青い色の車にはねられてしまったとします。この経験によって、青色のノードは調整されます。

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訳注
New Connection 新しいつながり
Sky 空
Blue 青
Jeans ジーンズ
Water 水
Pain 痛み

このような調整は、意識的または無意識に行われます。いずれの場合でも、青は新しい意味を持つことになります。

この新しい関連付けも、同じく、人の知覚や行動に影響します。どのように影響するのでしょうか? この答えは後ほど説明しますので、覚えておいてください。

なぜ色によって意味が異なるのか?

では、ここで一般的な定説について話しましょう。あまりにも多くの心理学の”第一人者”が特定の色に特定の意味をひも付けています。

例えば次のように。

  • 青色冷静
  • 茶色自然
  • 黄色元気

これらの関連付けは正しいと思っていますので、誤解しないでください。この意味については後ほどのセクションで説明します。しかし、色彩心理学はそんなに単純ではありません。

色の持つ累積的意味はひとつだけではありません。様々な要因によって、同じ色でも人は異なる意味を関連付けます(相反する意味になる場合もあります)。では、どのような要因があるのでしょうか? 次の3つの要因が挙げられます。

経験

人によって色に関連する経験は様々です。そして、この経験が色から連想する意味に影響を与えます。

そのため、人によって色から連想する意味は異なるのです。

  • 黒色:葬儀屋にとって、黒と哀悼の連想性が強いと言えます。彼らが異なる状況で黒を見たとしても、死や悲しみを呼び起こします。
  • 黄色:管理人にとって、黄色と尿の連想性が強いと言えます。彼らが異なる状況で黄色を見たとしても、嫌悪感を呼び起こします。
  • 白色:よくスキーをする人にとって、白と爽快感の連想性が強いと言えます。もうお分かりですよね。

多くの人が共通の連想性を持っていますが、つながりの強さはそれぞれの人の過去の経験に応じて異なります。

associative-network-experience
訳注
Money お金
Investor 投資家
Vegetables 野菜
Farmer 農家

必ず、対象とする市場に応じて色彩設計を選択してください。対象とする人々は特定の色に関係した経験は多いのでしょうか? そうような場合、その色から連想するものはプラスとマイナスのどちらの方へ働くのでしょうか?

文化

文化によっても意味は異なるでしょう。例えば、欧米の文化では、人々の一番好きな色は青です(Valdez、Mehrabian共著、1994年)。しかし、東アジアでは異なります。全く逆なのです。

アメリカで会社の色として主に使われる青は、東アジアでは寒色とされ悪魔や邪悪な行動を連想する(Schmit著、1995年、33頁)。

この記事で文化の違いを全て取り上げることはできません(私が注目するのは欧米で持たれる色の意味です)。

とは言いましたが、国際展開をする際には、(a)製品を流通する、あるいは(b)キャンペーンの対象を特定の民族に絞る前に、文化特有の色を調べる必要があります。文化によっては特定の色がマイナスの意味を持つ場合があります。

状況

第三の要因として、状況に応じて色の持つ意味は異なることが挙げられます。

状況は、どの関連するノードが回路で活発なのかを断定する時に役に立ちます。黒い家電製品は喪に関係することを連想させることはありません。これは、食器洗い機と葬儀が関連付けられていないため、そのような連想にならないからです。(Labrecque著、2010年、20頁)

赤も例として挙げられます。デートという状況において、赤は情熱や魅了などの感情を引き出します。そのため、女性はオンラインデートにおいて、赤い服を着た男性の方をより魅力的と感じるのです(Elliot、他著、2010年)。

red-online-dating

しかし、別の状況下では赤の意味は異なります。成果を出さなければならない状況では、赤は失敗を連想させます。これは、学校で答案用紙の採点に赤いペンが使用されるからなのです。そのため、実力を出さなければならない課題(例えば、IQテスト)に取り組む前に赤を見せられてしまうと、見せられずに取り組んだ時よりも、結果が悪くなるのです(Elliot、その他著、2007年)。

過去の経験、文化、状況は色の意味を決定する要因の一部です。しかし、多様な要因があっても、一般的に人が持つ色の意味は共通しています。これらの意味を次に説明します。

それぞれの色が持つ意味とは?

色の意味については、少し後の段落で表を使って説明したいと思います。そこで説明する色の意味は、多くの学術的研究の積み重ねによって得られたものです。

研究者たちは、どのようにして色の意味を導き出したのでしょうか?

最もよく見られる研究方法は、実験参加者に特定の色について様々な面から評価してもらうというものです。Labrecqueの論文(2010年)では、色の異なるロゴが使われ、実験参加者は、性格や好みに関係する様々な要素についてロゴを評価しました。

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この後で説明する特性は、全て同じような方法を通して分かったことです。そのため、ここで説明する色の意味は、おそらく他の記事で解説されている意味よりも正確なはずです。

更に説明をより分かりやすくするために、引用は省きました。しかし、この表を構成している学術的研究に興味がある場合は、Labrecqueの論文(2010年)の表3.2を参照してください。

color-meanings-table

画像訳:

意味や連想されるもの
不安、覚醒、大胆、有力、エネルギー、興奮、健康、生命、愛、情熱、力、保護、勇ましさ、刺激、強さ、最新
オレンジ 裕福、覚醒、心地よさ、大胆、興奮、外向性、楽しみ、幸福、活気、安全、官能的、勇ましさ、温かみ
覚醒、元気、自信、創造性、興奮、外向性、友好的、幸福、楽観的、自尊心、誠実、笑顔、勇ましさ
静けさ、心地よさ、均衡、調和、健康、希望、自然、アウトドア、平和、繁栄、くつろぎ、安全、平穏、鎮静、優しさ
静けさ、心地よさ、能力、涼しさ、威厳、義務、効率、知性、論理、平和、反射、くつろぎ、信頼、安全、平穏、鎮静、成功、優しさ、静寂、信用
信ぴょう性、魅力、威厳、排他、高級、質、堂々とした、官能的、洗練、霊的、品位、上流階級
ピンク 魅力、元気、女性的、温和、はぐくむ、誠実、柔らかさ、洗練、静寂、温かみ
自然、アウトドア、信頼、丈夫、安全、支え、頑丈
威厳、効率、上品、感情の安定、グラマー、力、裕福、丈夫、安全、洗練、品位、実質、頑丈、上流階級
静けさ、明快、清潔、現実的、幸福、天国、正直、衛生、潔白、平和、純粋、平穏、誠実、鎮静、優しさ

この表の情報を知りたいという方もいるかと思って表を載せましたが、あまりこの表を重視しないでください。

ここで連想された言葉は色相のみを対象とし、明度と彩度については考慮されていません。これは誤った方法です。すでに述べていますが、明度と彩度が色相より強力な影響を生み出す場合も多いのです。

「・・・明度と彩度が感情に与える影響は、色相と比べて非常に大きくなっています。・・・色相のみを研究し指定した初期の実験を理解するためには、優れた識別力が必要です。」(Rider著、2009年、7頁)

以上の理由から、上の表だけを頼ることはやめましょう。代わりに、次の2つのパートで説明する提案を使ってみてください。ここで採用されている方法は明度と彩度を取り入れているので、更に正確な情報を得ることができるはずです。

なぜ私たちは色に影響されるのか?

色が特定の意味を持つことは分かりました。しかし、なぜ(そして、どのように)色は、私たちの知覚や行動に影響を与えるのでしょうか?

Crowleyの論文(1993年)によると、色は2つの反応を引き起こすとされています。

  1. 覚醒反応
  2. 評価反応

1. 覚醒反応

覚醒とは肉体的な状態をいい、アドレナリン、血圧、心拍数が高くなるという特徴があります。これにより、より力がみなぎるように感じられます。

多くの研究で、暖色が覚醒を増進させるという結果が得られています。例えばCrowleyの論文(1993年)では、覚醒と色の波長の間にはU字型の関係が存在することが確認されました。

color-activation-relationship
訳注:
縦軸:活性化される量
横軸:色の波長(長⇔短)

暖色(赤やオレンジなど)を見ると、生物学的な反応が即座に起こります。アドレナリンが流れ始め、血圧が上がり、とても刺激的な感覚を経験します。

高い覚醒が役立つか弊害になるかは、マーケティングの目的によって左右されます。この状況については後ほど説明しましょう。

2. 評価反応

覚醒に加えて、もう1つの反応は評価です。消費者はあなたが選んだ色が”好き”でしょうか?

Crowleyの論文(1993年)では、評価と色の波長の間に、直線的に増加する関係が発見されました。波長が短いほど”好き”と評価される傾向が見られます。先ほどのグラフで示してみましょう。

color-arousal-evaluation
訳注:
覚醒と評価
縦軸:好まれる割合(Liking)と活性化の量(Activation)
横軸:色の波長

しかし、ここで1つの疑問が芽生えます。なぜ、色は評価反応を引き起こすのでしょうか? 答えは脳内の連想回路に関係しています。

色を見ると必ず、色に関するノードが活性化されます。

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この色に関するノードが活性化すると、活性化拡散を起こす引き金となります(Collins、Loftus共著、1975年)。活性化は、このノードとつながる全てのノードへと拡散されます。

spreading-activation
訳注:
Spreading Activation 活性化拡散

周辺のノードが活性化すると、これら全ての概念が知覚される世界の中に一時的に統合されます。

では、この見識を色に当てはめてみましょう。女性が男性を見た時、男性が赤い服を着ているとより魅力的に見える(Ellio、その他著、2010年)、と前の方で述べましたが、どうしてこの現象は起こるのでしょうか? これには、2つのメカニズムが作用しています。

最初に、女性はオンラインデートのプロフィールを閲覧している時、情熱とロマンスに関するノードが活性化しています。活性化拡散によって、全ての類似したノードが同じ様に活性化しますが、その中には”赤”に反応するノードも含まれています。

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訳注:
「赤」に関するノードがオンラインデートにおいては活性化される

上の図は非常に簡略化されています。現実では、これらの全ての概念が相互的につながっています。実際、これらのノードの中には赤から連想されるものもあります(バラ、心、バレンタインデーなどです)。つまり、これらのノードが”赤”の活性化を更に増幅させるのです。

“赤”のノードが活性化すると、一時的に、女性は赤の刺激をより速く、簡単に認識できるようになります。そして、これが鍵となります。

女性は赤いシャツを着ている男性の写真をより簡単に認識できます。

red-online-dating-fluency
訳注:
“赤”に反応するノードが活性化されているため、
赤い服の方がスムーズに認識される。

このように認識に関わる処理がよりスムーズになったため、女性の脳内では喜びの感覚が生まれます。女性は男性の画像が気持ちよく処理されていると感じるため、男性が魅力的であると誤って推察してしまうのです(AlterとOppenheimerの論文(2009年)をご覧ください)。

これが1つ目のメカニズムです。しかし、影響は逆にも作用します。

女性が赤い色を見ると、情熱やロマンスのノードを含んだ周囲のノードへと活性化が拡散されます。

online-dating-psychology
訳注:
赤い色を見てノードが活性化される
するとロマンスに反応するノードも活性化される

“ロマンス”に反応するノードが活性化すると、女性は一時的に、情熱とロマンスを同じ刺激として感じるようになります。つまり、男性の写真をより魅力的だと感じるのです。

私の意見が偏っているのは分かっています。しかし、活性化拡散というのは、心理学の中で最も面白い概念のひとつだと思います。もっと詳しく知りたい方のために、短い動画を用意したのでご覧ください。

色彩心理学では、裏に隠された概念を理解することが重要です。多くの人が色の視覚的な性質が重要だと推測します。しかし、そうではありません。研究によって、色について考えるだけで、色を視覚的に知覚したのと同じ影響が生まれることが分かっています。

ある研究では、黄色について考えた時に、視覚的に黄色を捉えた時と同じ神経学的な変化、左紡錘状回の活性化が起こりました(Simmons、その他著、2007年)。

psychology-effect-of-color
つまり、文字で書かれた色(例えば”黄色”という単語)でも、知覚や行動に同じ変化を与えることができるということです(Lichtenfeld、その他著、2009年)。

活性化拡散を分かっていれば、この結果は理解できるでしょう。色は私たちの概念知識によって影響力が大きくなります。色相には、ほとんど意味がありません。色の意味(そして、後続の影響)は、私たちが色から連想する感情的で意味論的な意味に左右されます。

しかし、疑問はまだ1つ残っています。どの要因が色の評価に影響を与えているのでしょうか? つまり、何が私たちの評価を肯定的、または否定的にしているのでしょう? 次のパートでこの要因について説明します。

“良い”色とはどんな色か?

それでは、色はどのように評価されるのでしょうか? 人々は3つの主要な要因を考慮しています。

  1. 妥当性
  2. 美的感覚
  3. 価値

1. 妥当性

マーケティング担当者は好みを基本にして色を決めることがよくあります。つまり人々が好む色を選びます。しかしこれは、通常、誤ったアプローチ方法です。色の妥当性を考えることが必要なのです。

例えば、多くの人は茶色より青を好みます。しかし、テーブルを買う場合を考えましょう。何色のテーブルが欲しいですか? ほとんどの人が茶色を選びます。なぜなら、それがより妥当な色だと思われるからです。

color-appropriateness
訳注:
Appropriate 妥当である
Not Appropriate 妥当ではない
Table テーブル
Sports car スポーツカー

感情と意味論的意味の2つの面において、色は妥当でなければいけません。

例えば、家の壁にペンキを塗る時は、部屋をどのようにしたいかという感情を基本にして色を選びます(Schloss、Strauss共著、2012年)。

意味論的意味については、Kauppinen-Raisanen とLuomalaの論文(2010年)で、人々に赤いパッケージの鎮痛剤の評価してもらうという方法で検証されています。意味論的意味に重く焦点があてられていることに、コメントから分かります。

  • “頭痛があり、痛みを和らげ治したい時に、血を連想させるものは欲しくありません”
  • “何かを喉に通さなければいけない時、赤い色は強烈すぎます。喉に良さそうには思えません”

2. 美的感覚

この記事では、連想されるものと色の意味について注目してきました。しかし、美的感覚を無視することはできません。

感情的な意味や意味論的意味だけを基盤に色を選ぶことはないのです。最終的に、プロダクトやデザインは視覚的に訴えるものである必要があります。

美的感覚を満足させるデザインにすると、以下のことが実現できます。

これが、色彩心理学が型にはまった科学とならない理由です。もっともな話ですね。

3. 価値

3つ目の要因は価値です。これには2つの社会的と機能的という構成要素が含まれます。

社会的価値を考えた場合、使用されている色は社会的な観点で役に立っているでしょうか? 例えば、ある特定の服装をしていると、”流行に敏感”(社会的価値が高い)だと思われます。

嬉しいことに、私はおしゃれなことで有名なんです。

color-high-social-value1
訳注:
社会的価値の高い私の服装

機能的価値を考えた場合、使用されている色は実用的な観点で役に立っているでしょうか?

例えば、シルバーの自動車は汚れや擦り傷を隠してくれます。つまりシルバーは機能的価値が高い色となります。黒い色は、自動車の汚れや擦り傷を目立たせてしまうので、社会的価値が低いことになります。

要点のまとめ

ここまでで色に隠された学説と科学が理解できたので、Kolendaカラーモデルが更に分かりやすいでしょう。

kolenda-color-model
訳注:
Kolenda Color Model Kolendaカラーモデル
Hue 色相
Value 明度
Chroma 彩度
Perceive color 色の知覚
Biology 生物学
Cool color 寒色
Warm color 暖色
Arousal reaction 覚醒反応
Associative Learning 連想学習
Ecological valence 生態学的誘発性
Attribute Meaning 性質的な意味
Evaluate color 色の評価
Aesthetic 美的感覚
Appropriate 妥当性
Value 価値
Negative Evaluation 否定的な評価
Positive Evaluation 肯定的な評価

見込み客が、色をどう評価するのか確認する際、このモデルを参照してください。

しかし、このモデルではどの色が適切かは教えてくれません。こちらに関しては、Part2で学んでいきましょう。

パート2:マーケティングへの適用

前のパートでは、色の評価を決定するステップを見てきました。

このパートでは、記事の冒頭に挙げた表について説明したいと思います。表をセクションごとに理解することで、マーケティングに応じた最適な色が選べるようになるはずです。

覚醒の度合い

color-arousal
先ほど、覚醒に対する色の影響について説明しました。

  • 寒色は覚醒を低下させる
  • 暖色は覚醒を上昇させる

ただ、どんな時に覚醒を上昇、あるいは低下させるべきなのでしょうか? 以下に説明しますね。

低い覚醒(弛緩)

リラックスしている時ほど、時間の経過は速く感じますよね。

待っている間にリラックス感を増大させるようなものは時間の経過を速く感じさせるが、逆に、不安や緊張は速さへの感度を低下させる。(Gorn、その他著、2004年、215頁)

例えば、クモが怖い人がクモを目の前にした時、時間は長く感じると報告されています(Watts、Sharrock共著、1984年)。別の研究では、しかめっ面の人と対峙している時も時間が長く感じられるということです(Thayer、Schiff共著、1975年)。

このような時間の感覚は、人の体内時計と関係しています。

…ストレスや心配は人の体内時計を加速させることがあり(実際よりも多くの時が刻まれる)、結果として時間の経過が遅く感じられる。(Valdez、Mehrabian共著、1994年、216頁)

寒色を使ったWebページの読み込み時間が速く感じるというのは、この理由によります(Gorn、その他著、2004年)。

color-loading-times
訳注:感覚的な読み込み時間を減少させる:紫 青 緑
感覚的な読み込み時間を増加させる:黄 オレンジ 赤

このことは買い物にも適用可能です。寒色はリラックスした気分になるため、ショッピングをより長い時間、楽しみたくなります。また、レジでの待ち時間を短く感じさせる効果もあります。

レジを打つ店員の制服も、安らぎの感覚やレジでの待ち時間の感覚に影響を与えることがある。例えば、レジ周辺が赤で満たされたTargetのような店舗は、内装の色を再考した方がいいかもしれない。(Labrecque著、2010年、30頁)

高い覚醒(興奮)

低い覚醒は時間を加速しますが、高い覚醒は、例えば衝動買いのように、行動を刺激します。

購買意欲のある消費者は、より衝動買いを起こしやすい傾向にある。このような場合、赤や青といった、より促進作用のある色が適切で、逆に緑のような穏やかな波長を持つ色は避けた方がよい。(Crowley著、1993年、67頁)

覚醒は、皮質機能を阻害し衝動性を向上させるため(Walley、Weiden共著、1973年)、論理や議論で頭を使うよりも、すぐに行動へと駆り立てます。

つまり相手のアクションがすぐに欲しい場合は、暖色で覚醒を高めてやればよいのです。

color-impulsive-actions
訳注:衝動的な行動を抑制する:紫 青 緑
衝動的な行動を促進する:黄 オレンジ 赤

処理方法

color-type-of-processing

覚醒が合理的な思考を抑制するということを、マーケティングの現場に応用してみましょう。

通常、私たちは情報を以下の2通りの方法で処理します。

  • 試行錯誤的な処理:迅速かつシンプル志向の分析
  • 体系的な処理:緻密で合理的な分析

主張やテーマが弱ければ、試行錯誤的な処理をしてもらう方が好ましいので、暖色を使って覚醒を高めます(皮質機能を低下させます)。

逆に主張やテーマが強ければ、体系的な処理に導くよう、寒色を使って覚醒を弱めます。

color-processing-type
訳注:体系的な処理に誘引する:紫 青 緑
試行錯誤的な処理に誘引する:黄 オレンジ 赤

覚醒のマーケティングへの適応はこれだけではありません。もう1つ見てみましょう。

販売の仕組み

color-selling-mechanism

オークション交渉という2つの販売媒体でも、色は一定の役割を担っています。

オークション

ある研究者が、eBayオークションで使われている背景色について調査しました。それで分かったことは、赤い背景色の方が、売り上げが大きいということです(Bagchi、Cheema共著、2013年)。その理由は何でしょうか? ヒントは覚醒に関係があります。

分かりましたか? 赤は覚醒を促進させ攻撃性を高めます。その攻撃性が入札に拍車をかけ、結果的に高値での落札になるというわけです。

…希少品や限定品を消費者が互いに競い合うような状況では、販売者は青地よりも赤地を使うことで、消費者の購買力をあおることがある。(Bagchi、Cheema共著、1993年、956頁)

交渉

交渉を通じて商品を販売する場合、オークションの時とは反対の色を使った方がいいでしょう。なぜなら、ここではあなたが仕掛けているので、相手の攻撃性を寒色で和らげた方がいいからです。

color-selling-mechanism2
訳注:交渉時の使用:紫 青 緑
オークションでの使用:黄 オレンジ 赤

服装のような、ささいな要素でさえ違いが生まれます。NFLやNHLでの反則データを分析した研究者によると、黒のユニフォームのチームの方が、より多く反則を取られていたということです(Frank、Gilovich共著、1988年)。仕事の面接のような場面では、青系統の服を着た方がいいかもしれませんね。

交渉についてさらに興味がある方は、私が以前に書いた交渉に関する記事をご覧ください。

ブランドイメージ

color-brand-personality
ブランドイメージの表現に、色を使うマーケティング担当者は多いでしょう。上の表を使うと、表現したいものに応じた適切な色を見つけることが可能です。

Aakerの研究(1997年))は、ブランドイメージの鍵となる5つの要素を以下のように示しています。

  • 能力(例:『The Economist』)
  • 興奮(例:スパルタンレース)
  • 丈夫(例:ラングラージーンズ)
  • 誠意(例:Hallmark)
  • 洗練(例:Apple)

ただ、より具体的な特徴を伝えたい場合はどうしたらいいでしょうか?

私は上記の5つの要素を、特定の相に細かく分けた表を作成しました。研究者によっては違う相のセットを用いることもあるかもしれませんが、ここでは実用性をベースにしています。

color-brand-facets
画像部分訳:
BRAND TRAIT ブランドイメージ
FACET 相
HUE 色相

COMPETENCE
能力
Efficiency 効率性
Intelligence 知性
Reliability 信頼性
Security 安全性
Trust 信用
Up-to-Date 先進性
EXCITEMENT
興奮
Arousing 刺激
Cheerful 快活
Daring 大胆
Happiness 幸福
Passion 情熱
RUGGEDNESS
丈夫
Nature 自然
Tough 頑強
SINCERITY
誠意
Down-to-Earth 堅実
Honest 誠実
Peace 平和
Tranquility 静寂
SOPHISTICATION
洗練
Charming 魅力的
Elegance 優雅
Luxury 豪華
OTHER TRAITS
その他の性質
Cleanliness 清潔
Comfort 快適
Extraversion 外向性
Health 健康
Power 力
Sensuality 官能*

意図した目標

color-intended-goal
特定の目標を達成しようという状況は多々あります。このセクションでは3つの目標(注目実行好意)を取り上げ、色がその目標にどう役立つのかを見ていきたいと思います。

注目を集める

色で注目を引けたらと思うこともあるでしょう。

  • 商品は陳列棚で目立っているか
  • SNSで自分の画像が閲覧されているか
  • ページの閲覧者はCTAボタンに気付いているか

KawasakiとYamaguchi(2011年))は被験者にたくさんの色を見せて、脳波による脳の研究をしています。それによると、好きな色が背景にある時は、それと意識する前に脳は活性化する、つまり、色が無意識的に人の注意を引く、ということです。

しかし、どうやって注意を引くのでしょうか?

ある研究では暖色の使用を推奨していますが(例:Garber著、2000年)、CRO(コンバージョン率最適化)の記事でも述べたように、最良のソリューションは大抵の場合、コントラストなのかなと思います。

注意は、往々にして視覚的に際だった要素に向かうものです(Parkhust、Law、Niebur共著、2002年)。つまり、注意を要素へと誘導したい場合(例:CTAボタン)、周囲の色に対して、コントラストが高い色を選べばいいというわけです。

color-conversion-tactic
この考え方はパッケージングにも応用できます。陳列棚で目立たせたいなら、パッケージングは個性的なものにすべきでしょう。

…パッケージングが競合製品との差別化にどの程度効果があるかを調査した。その結果、新奇なパッケージングは消費者の注意を引き、無意識的な反応を引き起こす可能性が高まることが分かった。(Labrecque著、2010年、31頁)

実行させる

色を通じて、相手に行動を起こさせる(商品の購買やコンテンツのシェア、ブログの購読など)ことができたらいいですよね。

この目標を達成するには、高彩度・低明度の暖色を使って相手の覚醒を高めるのが効果的です。こうした色は衝動性を誘発するため、行動による反応を増やす傾向があります。

私が自身のCTAボックスに黄色を使っているのは、その理由からです。と、ここで1つ宣伝を…

ここまで深くまで読んでくださった皆さんにとって、この記事が興味深いものであればと思っています。今後も新しい記事をアップしていきますので、もしご興味がありましたらぜひ私のブログを購読してください。購読すると、記事のPDFファイルにもアクセスできるようになります(その他、ちょっとしたサプライズもあります)。

話を戻しましょう。100万枚のPinterestの画像を調べてシェアデータを分析したBakhshiとGilbertの研究(2015年)があります。どういう結果だったと思いますか? それによると、写真を共有する際、人は暖色系の色(例:赤、ピンク)を含むデータを共有する傾向があり、それに比べると寒色系の色(例:青、緑)を含むデータは少ないということです。暖色により実行が促され、シェアするという衝動に駆られるのでしょう。

好意を引き出す

色の力で、製品やブランドに好意を向けさせることはできるでしょうか。

この目標を達成するには、短波長の色が効果的です。

ある物に対する反応(広告に対する態度など)で好意を得たい場合、青などの短い波長の色を用いるとその効果が得やすい。(Crowley著、1993年、67頁)

その他、例えば白やライトグレーなど、明るい色を使ってみるのもいいでしょう(Valdez、Mehrabian共著、1994年)。

製品の種類

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あなたはどのタイプの製品をお持ちですか?

  • 実用品:機能性を提供する
  • 娯楽品:社会的、感覚的な利益を提供する

BottomleyとDoyleの論文(2006年)では、製品クラス別に色の役割が検証されています。その中で、機能的な利益と社会的、感覚的な利益についてどの色を連想するかというのを被験者に聞いています。

その結果は以下の通りです。

  • 機能的な色:グレー、黒、青、緑
  • 社会的、感覚的な色:赤、黄、ピンク、紫

この研究によると、人は色と製品がぴったりと適合した時に製品に対する距離が縮まると言います。機能的な色が実用品を強化し、社会的、感覚的な色が娯楽品を強化するわけですね。

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訳注:
実用的製品の例: 不凍液 / タイヤ / 電気技師 / キッチンペーパー / 電動工具 / 勧誘員
実用的製品向けの色: 黒 / グレー / 緑 / 青
娯楽的製品の例: テーマパーク / チョコレート / アイスクリーム / ナイトクラブ / 香水 / レストラン
娯楽的製品向けの色: 赤 / ピンク / 紫 / 黄

メッセージの枠組み

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広告主は、通常、特定の枠組みを使って製品を説明します。

  • 予防:あなたの製品はどのような問題を予防できますか?
  • 獲得:あなたの製品はどのような利益を提供できますか?

特定の色は、こうした枠組みを強化できます。こちらの宣伝に関する記事に書いたとおり、通常、赤で連想するのは回避です。

red-avoidance-mindset

この連想により、赤を見ると回避の思考回路が作動し、それを通じて問題を素早く察知するのです。

一方、青はというと接近の思考回路を作動させます。

…青は一般的に開放や平和、静寂などを連想させる。通常、これらの連想は温和な環境を示唆するため、接近の指向性を起こさせやすい…(Mehta、Zhu共著、2009年、1頁)

MehtaとZhuの研究(2009年)では、上記の色を使って歯磨き粉の広告を2パターン作成し、テストを行っています。

  • 予防を重視:虫歯予防
  • 獲得を重視:歯のホワイトニング

赤を使えば回避の思考が働くので、予防効果の宣伝を強化できます。一方、青は接近の思考を活性化させるため、獲得効果のアピールを強めることが可能です。

性別

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この記事の前半で、色の好みに関して3つの学説を挙げました。

  • 進化論:女性は採集者であり、赤と黄色の食材を識別する能力が進化した(Alexander著、2003年)。
  • 性別スキーマ理論:幼年の頃より、男性は青に傾倒し、女性はピンクに傾倒する(LoBue、Deloache共著、2011年)。
  • 生態学的誘発論:私たちは経験に基づいて、特定の色に肯定的な感情を付与する(Palmer、Schloss共著、2010年)。

theories-of-color

これらの理論を基にすると、女性は暖色、男性は寒色を好む傾向があると言えそうです。以下の文章は、このような傾向を支持しています。

男性と女性の色相に対する平均選好曲線は大きく異なる。平均的な女性の好みは赤みがかった紫色のエリアで急上昇しながら頂点を迎え、緑がかった黄色のエリアで急降下するのに対し、男性の場合は青味のある緑色のエリアにシフトする…(Hurlbert、Ling共著、2007年、R624頁)

その他の研究では、明度と彩度に関して、男性は高いのを好み女性は低いのを好むという結果も出ています(Radeloff著、1990年)。

パート3:まとめると

ここまで様々な内容を説明してきました。それらを統合してみましょう。

モデルの使い方

マーケティングへの適用について理解が深まったところで、この記事の冒頭に載せた大きな表を使って、一例を見てみましょう。

男性向けの実用的な製品を販売するために、獲得の枠組みを使っているとします。それには以下のようなステップが考えられます。

ステップ1:自分の状況に関連する全ての行をハイライトする。

color-model-step1
上の画像は冒頭の表からの抜粋です。状況に応じて表の他の部分をハイライトし、関係のない部分は無視してください。

ステップ2:各列の下に、ハイライトされたチェックマークの合計数を記入する。

color-model-step2
ステップ3:点数が最も多かった色を見つける。

color-model-step3
訳注:有力候補となる色

この点数を色選びの参考にします。1色だけを選びたい場合は、最高点の色が第1候補になるでしょう。

では、複数の色を選びたい場合はどうなるでしょうか? いくつかの要素を考えてみましょう。

色の数

この記事では、それぞれの色の持つ意味を学びました。しかし、選ぶ色の数にも意味があります。いくつの色を選ぶべきでしょうか?

その答えには2つの要素が関わってきます。

  1. 製品の種類
  2. コンテンツの量

1. 製品の種類

まず、対象の製品が実用品か娯楽品かを考慮する必要があります。

色の数が少ない場合は、実用的で真面目な印象を与えます。一方、色の数が多い場合は、快楽的で楽しい印象を与えます(Bottomley、Doyle共著、2006年)。

clown-color

ただし、あまり多くの色を使うと、不快な印象を与える可能性もありそうです。

一般的には、前述した以下の知見に従うとよいでしょう。

  • 真面目な性質の製品では、色の数を少なくする
  • 気楽な性質の製品では、色の数を多くする

2. コンテンツの量

人間が処理に使える認知資源の量には限りがあります。だからこそ、見る人の注目を集めたければ、コンテンツの量を考える必要があるのです。

例えば、広告をデザインしているとしましょう。広告に多くの文章が含まれていると、消費者はその広告を評価するために多くの資源を使う必要があります。このことは、デザインに多くの色が含まれている場合に問題となる可能性があります。

色を評価するにも、資源を使う必要があるのです。もし広告に多くの文章が含まれ、しかも多くの色が使われていると、情報過多のデザインとなってしまいます。この場合、商品に対する消費者の印象が悪くなるということを、研究者は指摘しています。

その可能性を調査したMeyers-LevyとPeracchioの論文(1995年)は、上記の指摘を支持する以下の結果を示しています。

そのような処理や広告の説明が比較的負担を要する場合(中略)、広告が単純で白と黒のみを使っている、または説明に関する要素だけがカラーで強調されている方が、より好意的な態度になりやすい。(122頁)

もちろん、デザインの目標によって状況は異なりますが、以下の原則を考慮するとよいでしょう。

  • デザインが複雑であるかコンテンツが多い場合は、色の度合いを下げる
  • デザインが単純であるかコンテンツが少ない場合は、色の度合いを上げる

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訳注:コンテンツが多い広告では色の度合いを下げる

色の相性

消費者は、複数の色が含まれる対象物をどのように評価するのでしょうか? 魅力的に見える色の組み合わせとは?

その答えを理解するには、判断の鍵となる要素を知る必要があります。SchlossとPalmerの研究(2011年)によれば、以下の3つの要素があります。

  1. ペアの好感度:その色の組み合わせがどのくらい好まれる
  2. ペアの調和度:その色の組み合わせがどのくらい調和すると見なされるか
  3. 図色の好感度:ある背景色に対してその図色がどのくらい好まれるか

SchlossとPalmerの研究(2011年)は複数の調査を行い、ある1つの条件が3つの要素全てに影響を及ぼすことを見いだしました。それは、前景と背景の関係です。

色が相対する面(例えば前景と背景)にある場合は、色相が似ていない方が魅力的に見えます。

色相のコントラストと明度のコントラストの両方に関する明らかな効果が判明した。寒色の背景では暖色の図が好まれ、暖色の背景では寒色の図が好まれるということ、そして対照的な明度の色を背景にした図が概して好まれるということである。(Schloss、Palmer共著、2011年、568頁)

color-figure-background
訳注:図色と背景色のコントラストを強めたもの

色が同じ面(例えば、いずれも前景)にある場合は、色相が似ている方が魅力的に見えます。

ペアの好感度とペアの調和度はいずれも、主に色相の類似度によって変化する。具体的には、色相が似ているペアは、概して好感度も調和度も高くなる。(Schloss、Palmer共著、2011年、567頁)

もちろん、こうした指針に必ずしも従う必要はありません。しかし、次のセクションで説明するように、この知見は配色を選ぶ時に役立つでしょう。

色の組み合わせ方

見た目で好まれる配色の要素については理解できましたが、適切な色の組み合わせはどのように選ぶべきでしょうか?

以下は、よく使われる4つの配色です。

1. 単色

単色の配色は、同じ色相の中で異なる度合いの色を使います。

monochromatic-color-scheme

単色の配色は単純な性質を持つため、単純なメッセージを伝えたり、洗練されたブランドを示したりするのに有効です(Rider著、2009年)。

また、それぞれが似た色になるため、単色の配色は、同じ面の色を選ぶ場合に採用を検討するべきでしょう(前のセクション参照)。

2. 類似色

類似色の配色は、色相環で近接する似た色相の色を使います。

analogous-color-scheme

単色のデザインと同様、類似色の配色は色相が似ているため、知覚されるデザインの調和度を高めます。よってこの手法も、同じ面の色を選ぶ場合に採用を検討するべきでしょう。

3. トライアド(3色)

トライアドの配色は、色相環で120度ずつ離れている3色を使います。

triadic-color-scheme

この配色は、ひょっとすると一番よく使われているかもしれません。

トライアドの色の組み合わせは、最適な配色と考えられています。1色を背景に、残りの2色をコンテンツや強調部分に使うことができます。(出展:Kissmetrics

4. 補色

補色の配色は、色相環で反対側にある色同士を使います。
complementary-color-scheme
色相環で反対側にあるため、補色の配色にするとコントラストが強くなります。この知見をデザインに生かし、前景と背景のコントラストを強めたい場合は補色を選びましょう。

または、ある要素(例:CTAボタン)をもっと目立たせたい場合に補色を使うことも考えられます。周囲のコンテンツと対照的な色を選べば、注目度は自然と高まるはずです。

以上をまとめると、次の表のようになります。

color-scheme-table
訳注
Type of Product 製品の種類(上から、真面目な性質の製品、気楽な性質の製品)
Amount of Content コンテンツの量(上から、少ない、多い)
Figure / Background 図 / 背景(上から、同じ面、相対する面)
Color Scheme 配色(左から、単色、類似色、トライアド、補色)
Number of Colors 色の数(左から、少ない、多い)

要点と結論

私が書いた他の記事を読んだことのある方は、私ができるだけ多くの内容を詰め込みがちなことにお気付きでしょう。この記事も同様になってしまいました。

しかし、その必要はあったと思っています。色彩心理学は魅力的なテーマですが、誤解されている点も少なくありません。この記事にもきっと誤りはあるでしょうが、正しい理解に向けたステップになれば幸いです。

今後の参照用に64頁のPDFとチェックリストをダウンロードしたい方は、私のブログを購読してください。私が作成した他のPDFやビデオにもアクセスできます。

では最後に、ポイントを2つお伝えします。

色彩心理学は科学である

マーケティング担当者は、恣意的に色を選ぶことがよくあります。ですが皆さんは、もう違いますね。色の科学と心理学を理解しましたから、色の選び方を戦略的に分析できるようになりました。

今度色を選ぶ時には、以上で述べたモデルを参考に、(a)ある色が見る人にどんな影響を及ぼすか、そして(b)どの色が自分の求める知覚や行動を生み出すかを見極められるはずです。

ただし、注意してください。色は科学に基づいていますが…

…色は常に芸術である

この記事では色選びの指針となる表をご紹介しましたが、そのような提案は役に立たないという意見もあるでしょう。

グラフィックデザインの世界では、厳密なルールは決して存在しません。実際、優れたデザインには、ルールを破っているものもたくさんあります。やはり、人間性や創造性が欠かせないということです。色彩心理学は常に芸術の一形態なのです。

とは言え、この記事で皆さんに何らかの収穫があったことを願っています。今後の記事に興味のある方は、私のブログを購読してみてください。読んでいただく価値のある記事を書いていきたいと思います。