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Rob Heaton

本記事は、原著者の許諾のもとに翻訳・掲載しております。

僕は最近Stripeに入社するまでの5ヶ月間、全く仕事をしませんでした。この間に成し遂げたことは、いくつかのブログの投稿と「スタークラフト」のゴールドリーグへの昇格くらいですが、とても楽しい時を過ごしました。

最初に断っておきますが、これはもちろん、僕が信じられないほど多くの点で恵まれていたからこそできたことです。いくらかの貯えがあったことや、ソフトウエアエンジニアの需要が高いことの他にも、僕が思いもよらないたくさんの特典があったはずです。また、世界の雇用市場が一般的に思わしくない2014年の状況下で、働かないことの素晴らしさについて述べるのは、やや不愉快だというのも分かっています。僕の理想を言えば、誰もが長期間働かないことを享受できるようになればいいと願っています。

以上の本質的な「ただし書き」を踏まえつつ、僕の独断による楽しい失業生活のススメを紹介します。

楽しい失業ライフを勧めるワケ

人は向上心が高すぎる生き物だと言っても差し支えないでしょう。自覚があるかどうかはさておき、人は仕事を自分の価値とある程度結びつけて考えています。皆さんはこれまでに、息抜きは大切だという意見や、労働マゾヒズムは器の小さな人間の行き着く先だというような見解を読んだり、ともすれば自分で書いたりする機会が少なからずあったでしょう。しかし、仕事で最大の成果を上げるためには休息が不可欠だと認める一方で、ライフスキルや収入力の向上に直接関係ないことをしていると、ひどく落ち着かない気分になるものです。

楽しい失業ライフは、このようなばかげた考えから抜け出すためのトレーニングであり、自分が自分に抱いているイメージと他者が自分に抱いているイメージを初期化することです。へとへとになるまで頑張ることが尊いのではなく、座って「Portal 2」を攻略することにも尊重すべき大義があるということに気づかせてくれます。

楽しい失業ライフは、次の仕事に備えるための充電期間でもなく、将来につながる新しいスキルや言語を習得するための機会でもありません。それは、今という瞬間にただ存在する時間なのです。

楽しい失業ライフの過ごし方

1. 目的を持たない

楽しい失業ライフは、難しく考えることをやめ、あいまいで無きに等しい目標に向かって前進しなければならないというプレッシャーから自分を解放するためのトレーニングです。もちろん、スキルを身につけ能力を高めることは楽しいですし、その楽しさは、皆さんが労働や学習を続け、そうしていない時には心もとなく感じる大きな理由の1つでしょう。それにしても、なぜそんなにも新世代フレームワークについて学びたいのでしょうか。学ぶことをやめたらどうなるのかという漠然とした不安も、きっと大きな理由ですよね。自分はまだ採用に値する人材なのだろうか。次は今よりいい仕事に就けるのか。次の大規模再編をリードすることができるだろうか。子供たちはまだカッコいい親と見てくれている? でも、実はこういうことは皆さんが本当に人生で成し遂げたいこととは直接関係ないでしょう。ネクタイを締めていないからといって、出世レースに参加していないということにはならないのです。

ゴールの無い状態というのはおそらく不安定でしょう。努力して精一杯働き、いろんな可能性を試したいという衝動は本能でしょうし、実際、全体的に見て人間の長所と捉えるべきものでしょう。しかし、楽しい失業生活の間は、終わりのないルームランナーのようなハードワークからは一定期間離れてください。今を生きて、楽しいことをすべきです。ElephantSQLを実験的にビルドしてみるという計画も、それ自体楽しいことは間違いないでしょう。でも履歴書に書くためじゃないとか、HackerNewsのポイントのためじゃないとは言わせませんよ。そこをはっきりさせてから、娯楽としての自己啓発について検討してみましょう。

2. 物語を読み、コンピュータゲームをする

比較的安全な活動です。もし文化的な気分や分析心をかきたてられたらすぐにやめて、「デッド・オア・アライブ・エクストリーム・ビーチ・バレー」に取り組んでください。

3. 何も成し遂げない状態を受け入れる

バスに乗った時、本や携帯電話を持っていなかったらストレスを感じますよね。実際、少なくとも過去1年の間に、誰かにそう言ったことがあるでしょう。賭けてもいいですが、バスに乗っている時間を無駄にしたくないからですよね。自分はとても忙しい、だからどんな細切れの時間でも最大限有効活用しなくてはならないということを、他の人たちにも知って欲しくてたまらないのです。

失業ライフの精神はこれとは全く正反対です。いずれはちょうどいいところでバランスがとれるかもしれませんが。それまで一般に通用し、疑問の余地のなかったあなたの存在意義が、仕事を辞めたとたんに消え去ります。「言いたいヤツには言わせておけ」とよく言われますが、失業ライフは、まるで磁石のように中傷を引き寄せます。「よお、バリー、最近『コール・オブ・デューティ』ばっかりやってるみたいだな。今日は家から一歩も出てないんじゃないの?」 こんなことを言われても、口ごもりながら言い訳する必要はないし、やったのかやらなかったのかよく分からない、それなりに生産的な活動のあれこれについて説明を始める必要もありません。柔術のように、相手の攻撃を吸収し、それをそっくりそのまま相手に返してやればいいのです。「まあね。最高の気分だよ。同じ下着をもう何日もはきっぱなしさ」と。自分がいかに不毛な日々を送っているかを、かつてと同じ情熱とエネルギーをもってアピールしましょう。自分がどれだけ働いて、どれだけ忙しいかを周りの人に訴えていた、あの頃のように。そして当時と同じように、相手に嫌われるまでアピールを続けましょう。

4. まず雑用を片付ける

笑いと注目を集めたいのであえて大げさに言いますが、下らない雑用を最初に片付ければ片付けるほど、あなたはハッピーになれます。確定申告や、友人に作ってやると約束した悪趣味なウェブサイトのことが頭に引っ掛かっていては失業ライフを楽しめません。それらを放置すればするほど、気になって仕方がなくなり、毎週のようにストレスがどんどんたまっていくものです。ですから、雑用に始末される前に(雑用のために少し不自由な思いをさせられる前に)、雑用を始末しましょう。

5. 瞑想する機会を増やす

これは僕の持論にすぎませんが、人は日常にもっと瞑想を取り入れるべきです。僕はいつも、「瞑想しない暇なんてない」などと自分でも耐えられないほど独善的なセリフを吐いていますが、実際のところ、瞑想のための時間を作ることは大変難しいものです。しかし幸い、失業ライフを楽しんでいる間は、時間は持て余すほどにたっぷりあります。瞑想についてはまたいずれ詳しく書きたいと思いますが、このテーマでは驚くほど多種多様な書籍がすでに世に出ています。チベットの仏僧やゴールドマン・サックスの社員まで、様々な場所に住む様々な人々が瞑想について書いていますから、そちらをご参照ください。

結論

もしあなたが失業したら、再就職に向けて客観的かつ確固たる方針を急いで固めようとするでしょう。でも、僕の持論の範囲ですが、上述したことこそがあなたの本当にすべきことです。それを3文でまとめると次のようになります。難しく考えすぎないこと。自分にはプラスにならないようなことでも、それを実行するのを恐れないこと。そして、落ち着くこと。