倒産した技術系スタートアップ企業から学ぶ7つの教訓

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多くのGoogle社員と同様、私は起業したくてたまりませんでした。Googleで働くのは名誉なことで、大きなメリットがありましたが、”これ”という決定的な何かが欠けていたのです。

私たちの多くは”あの偉業”を成し遂げた”あの人物”と呼ばれたいと思っていますが、既に定評のあるテクノロジ大企業で、そういった人物になるのは不可能です。

その原動力がどこから来るのかは誰にも分かりませんが、私は多くの人々が自分と同じ気持ちを抱いていることを知っています。私はその欲求を満たすために、会社を設立せざるを得なかったのです。

スタートアップでは資産のほとんどは経営陣が持っていて従業員は持ち分が少なすぎると書かれた文章を読んで、がくぜんとしました。それで自分の会社を設立する決心をしたのです。まず、共同創業者と私は、2012年2月頃に仕事を辞めました。私たちには大した計画はありませんでした。取り組もうとしていることに関して大ざっぱなアイデアはありましたが、実行の詳細は全て、まだあいまいでした。

その時に得た教訓をいくつか紹介しましょう。

レッスン1:前にいた会社の他の職務に対する過小評価

販売は重要で、マーケティングも大事です。会社で最も重要な職務のうちの2つです。そこそこの製品でもマーケティングと流通がうまくいけば、大丈夫でしょう。しかし、製品が良くてもマーケティングと流通がうまくいかなければ、おそらく失敗します。

キャリア全体(どんなに短くても)をソフトウェア開発者として費やしてきた人なら、他の職務をないがしろにしてしまいがちです。Googleのエンジニアはお姫様のように扱われたので、特にその傾向がありました。

私の給料の元となるGoogle AdWordsビジネスを推進するためにGoogleが雇っている大規模な販売チームを当然のことと思い、きちんと評価していませんでした。

数年後、私は『はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術(原題:The E-Myth Revisisted)』を読んで、前述の考えが非常に一般的なよくある間違いであることに気付きました。「技術者」は常に、自分の雇い主よりもうまくビジネスを行うことができると考えています。自分が状況に合わせて変化し、自分の弱点を補うために人を採用しない限り、大抵、その考えは間違っています。

仕事を辞めて一日中技術的な仕事をして過ごすことができて、以前の仕事にはよくあったオーバーヘッドに悩まされることはないと、技術者は考えています。私の場合、仕事を辞め、夢中になっているコードを一日中書くことができると思いました。しかし、これは現実からは程遠いことです。

独立すると、販売とマーケティングに自分の時間の50%以上を費やして、お金を集めたり、取引をしたり、勧誘電話をかけたり、何でもしなければなりません。成功した起業家は大抵そうしています。彼らは積極的にチャンスを追い求めているのです。

GoogleやFacebookのような企業は、めったにない例外です。私の知る限り、このような創業者たちは、一日中座ってコーディングすることができたし、ウェブサイトは最小限のマーケティングでたまたま広まることができたのです。確かLarry PageもMark Zuckerbergも、最初のマーケティング手段はメーリングリストだけだったと思います。彼らは、自分のサイトへのリンクをメーリングリストに送ったのです。その後は皆さんがよくご存じのとおりです。

そんなことが自分にも起こると期待してはいけません。ほぼ間違いなく、あなたの製品は、GoogleやFacebookほど良くはないはずです。

とにかく、私は販売というのは難しいものだとすぐに学びました。私たちの最初の製品は、レストランやコーヒーショップの壁に設置する電子リーダーでした。Wi-Fiに接続し、ダイナミックな広告掲示板として使用しました。製品はすばらしかったのですが、壁に私たちの機器を設置してもらえるようにレストランのオーナーを説得しなければなりませんでした。

これは口で言うほど簡単ではなく、かたくなに拒否されました。販売担当者にとっては、これも仕事のほんの一部ですが、エンジニアの私は、「これは、私の仕事ではない」と思わざるを得なかったのです。

レッスン2:お金は大切

私はGoogleで働いていた時、給料をもらうのは当たり前だと思っていました。それは学校を出て最初に就いた仕事だったので、お金は何の意味もありませんでした。私はわずかな支出で、独身生活を送っていました。給料は私の名前に関連付けられた、ただの数字でした。私の当座預金口座の残高も、ただの数字でした。

しかし、2年半の間、給料無しで貯金生活を送ると、お金がいかに大切か分かってきました。外食したり、服を買ったり、何か楽しい事をしたり、旅行にいったりする度に、私は次第に減っていく当座預金残高のことを考えたものです。ほんの一瞬考えただけですが、いつも頭の中にあり、時間が経つにつれ、どんどんひどくなっていきました。

少なくとも私は借金はしませんでした。私にはクレジットカードに頼って生活しながら事業を始める創業者のストレスは想像できません。さらに、会社を立ち上げながら家族まで養おうとしている人々のストレスも想像できません。

レッスン3:それを作っても、彼らはやってこない

Copybloggerに驚くべき記事があります。タイトルは、How To Keep Kevin Costner From Ruining Your Blog and Business(ケビン・コスナーにあなたのブログやビジネスを台無しにさせない方法)です。

多くの人は、「それを作れば、彼らがやってくる」と考えます。

これはレッスン1に密接に関連しています。ほとんどの人は販売とマーケティングを軽視します。そして、ほとんどの製品は魔法のように口コミで広まることはありません。Facebook、Google、そしてTwitterは超有名で、非常に目立つ例外です。不幸なことに、彼らがメディアの注目の98%を浴びているので、私たちは「彼らのモデルは起業家精神のお手本となる正しいモデルである」と信じてしまうのです。

成功しているソフトウェア製品の多くは、最低限必要なユーザ数を獲得するために何年もかかっています。金をもうける代わりに、ユーザを集めることに集中しようとすれば、長い滑走路を準備するためにとんでもない額のベンチャー資金を調達しなければなりません。

共同創業者と私は製品の第2弾として、自分たちが「Gmailより優れている」と考えた電子メールソフトを作りました。残念ながら、ユーザがこの製品を採用するようになると、私たちはこのレッスンのありがたみを忘れてしまいました。

レッスン4:チーム構成は重要

YCombinatorとTechStarsがチーム構成は重要だと繰り返し伝えていましたが、私はいつも、間違っているのは彼らで、自分は創業者として独力で必ず成功するに違いないと思っていました。

でも問題があります。レッスン3の理由から、ビジネス業務に専念する人が必要になることです。1人は一日中コードを書いて製品のことを考えます。他の1人は、その製品のところまでユーザを誘導することを考えなければなりません。マーケティングと販売はフルタイムの仕事にすべきなので、その分野への情熱と経験のある人が必要です。

私たちは2人とも技術者で、「ビジネスパーソン」に転身したくはありませんでした。2人とも、コードを書く方が好きだったのです。

レッスン5:欲張りすぎないこと

私たちの最初の製品は電子掲示板でしたが、販売がかなり難しいことが分かったので、これをあきらめて、代わりにGmailの代わりとなる純粋なソフトウェア製品を作りました。

その製品をBoxunoと名付け、いろいろな機能を盛り込みました。

  • 2ペイン表示の新しいUX
  • メールのドラッグ選択機能
  • IndexedDBとアプリケーションキャッシュを使ったブラウザ内での完全なオフライン動作
  • Facebookメッセージングとの統合
  • Twitterとの統合
  • GChatとの統合
  • 受信箱内のフル機能TODOリスト

メールとIMAPだけでも非常に難しいことなので、新しい製品として最初の項目だけで十分だったはずです。でも、私たちは5つの新製品を1つにまとめようとしました。

どれだけ馬鹿げたことだか分かりますか? 世界初の超複雑な製品を2人で作ろうとしていたのです。欲張りすぎていただけです。

驚くべきことに、その製品は1年で動作可能になりました。でも、バグを全て潰すことはできませんでした。あまりに複雑なので、オフラインでのIMAP同期は悪夢のようでした。

新しい製品を作るときは、欲張りすぎないようにしましょう。機能を増やせば増やすほどユーザの食指が動くというわけではありません。ニッチなニーズに焦点を絞り、ユーザが本当に欲しがっているものを提供する方が得策です。

私たちの場合なら、GmailのUIにうんざりしているユーザだけに焦点を絞ることもできたでしょう。そんな人はGmailユーザの1%に過ぎないかも知れませんが、新しい製品を支持するには十分な人数です。

そういったユーザの多くは、チャットだの何だのがなくても私たちの製品を使ったでしょうから、余分な機能に取り組む必要はなかったのです。

レッスン6:他人の問題を解決しよう

これはレッスン5に密接に関係します。自分たちが「クールな製品」になるだろうと思うものに焦点を絞るのはやめて、他人の現実的な問題、理想的にはお金になる問題の解決に集中しましょう。いくつかの目的が果たされます。

1 作業量が減ります。ユーザが希望する主要機能だけを作ればいいのです。自分たちがクールだと思っていてもニッチなユーザが気にもかけないようなものを付け加えるために、時間を無駄にすることはありません。
2 前向きなフィードバックが得られます。会社の立ち上げ時には、前向きなフィードバックはとても励みになるものです。
3 お金になります。利益を得ることは前向きのフィードバックの究極の形です。

レッスン7:会社に自尊心を支配されるのは危険

私は以前、起業家精神と心の健康について詳細な記事を投稿しました。その概要は、成功している人は大抵、自分の仕事から多くのアイデンティティと自尊心を得ているということです。私も例外ではありません。大学を卒業してすぐにGoogleで働いていたことを誇りに思っていました。

でも、大企業を離れて起業すると、困難を極める数多くの状況や問題に直面します。起業に関わる試練や苦難から自己イメージを切り離す方法を見つけなければ、惨めになるだけです。

Tim Ferrisは、パーソナリティの多様化についてインタビューの中で話しています。

仕事が自分そのものになるのです。1つの仕事、1つのプロジェクトに多くの時間を費やし、自尊心の観点から1つのことにすべてを賭けるようになります。ですから、会社がうまくいかなかったり、ビジネスがうまくいかなかったりすると、落胆し、やる気をなくし、それが致命的な問題になることもあります。

心から同意します。仕事以外に、自分が幸せになれるもの、自分のアイデンティティの軸になるものを人生に必ず持つようにしましょう。

たとえ会社が倒産しても、心の健康まで壊されないように。

写真提供:I’m working.(1) via photopinから(使用許諾)