優秀な面接者に共通するものとは? 数千の実例を調べてみました。- 前編

interviewing.ioでは以前、応募者の視点から、良い面接には何が役に立つのかについて分析し、多少掘り下げた記事を書きました。しかし、本質的に両者の力関係は不均衡ではあるものの、面接は双方向のやりとりなのです。私は少し前に、この市場では人材採用は身元調査ではなくて販売のようなもので、1時間も話をしている間に応募者の心を掴むことができなければ甚大な機会の損失になるという記事を書きました。しかし、面接の問題を解くことが時間と練習を必要とする習得されたスキルであるのと同じように、机を挟んだこちら側でもスキルを習得しなければなりません。良い面接者になるには、時間と努力、そして、オートパイロット任せを脱して相手と有意義に係わり合うのだという根本的な意志が必要です。

もちろん、ほとんどの人には、どうすれば良い面接者になれるかについて各自の揺るぎない意見があるので、ここでは理論や哲学の話は避けてデータを示し、例えば、「会社の技術ブランドの強さは影響するのか?」、「問題で候補者をワクワクさせられるか?」、「候補者に良いヒントを与えることがどれほど重要か?」、「自分自身についてはどれぐらい話すべきか?」、「結局、何を話すかよりも人をどういう気持ちにさせるかの方がはるかに重要だ、というのは本当か1」などといった問いに分析的に答えることに集中します。

調査の成果について詳しく説明する前に、interviewing.ioと、私たちが集めるデータについて少し説明します。

設定

interviewing.ioは、匿名の技術面接プラットフォームです。interviewing.ioでは、利用者は匿名で技術面接を練習することができ、それがうまくいけば、Lyft、Twitch、Quoraなどのような多数の企業との実際の面接に(匿名のままで)臨むことができます。

このプラットフォームの素晴らしいところは、練習と実際の面接の両方が、interviewing.ioの生態系の中で行われるという点です。その結果、私たちは大量の面接データを集め、それを分析して技術面接についての理解を深めることができます。集まるデータのうち非常に重要なものの1つは、面接者と応募者の両方からの、面接の進行と相手についての感想のフィードバックです。興味があれば、下記の面接者用と応募者用のフィードバックフォームを見てください。「はい」か「いいえ」かを問う直接的な質問に加えて、面接のパフォーマンスのいくつかの面について、4段階での回答を求めています。また、応募者用には面接者には見せない質問がいくつか余分にあり、その1つは、行われた面接についての応募者自身の意見です。

Feedback form for interviewers
注釈:
この応募者を次の面接(例えば、オンサイト)に進ませたいですか?
はい いいえ
技術スキルはどうでしたか?
問題解決能力はどうでしたか?
コミュニケーション能力はどうでしたか?
応募者への意見

面接者用フィードバックフォーム

Feedback form for interviewees
注釈:
Acmeコーポレーションで働きたいですか?
はい いいえ
この会社での勤務への期待度は?
良い問題でしたか?
問題を解く際に面接者は助けになりましたか?
面接者への意見
他の人には公開されません
この問題を以前に見たことがありますか?
はい いいえ
この面接についての意見

応募者用フィードバックフォーム

この記事では、企業との数千回におよぶ実際の面接のフィードバックと結果を分析して、優秀な面接者に共通する特質とは何かを探ります。

面接者の個々の振る舞いの本質について考える前に、まず、企業のブランドが結果に与える影響に注目することによって、状況に応じた良い面接者の価値を評価しましょう。結局、ブランドが大きく影響するのなら、良い面接者は私たちが考えるほど重要ではないのかもしれません。

ブランドの強み

では、ブランドは本当に面接の結果に影響するのでしょうか? データについて考える前に、重要な注意事項があります。それは、このプラットフォーム上の面接はすべて、ユーザが始めるということです。言い換えれば、利用者は、ジョブポータルをロック解除すると(そのためには練習用面接を完璧にこなしておく必要があります)、面接の相手を決めます。したがって、このプラットフォームで会社と話し合う応募者は、最初に自ら会社を選んだのですから、その先へ進む傾向があります。そして、驚くにはあたりませんが、ブランド力の強い会社は無名な会社よりも、応募者を簡単に惹きつけることができます(このプラットフォームでもそうですが、外の世界でも、ほぼ同じです)。また、私たちの協力会社にはかなり強力なブランドをもつ会社が多いので、このプラットフォームのプールはブランディングの全体的な勢力図を表しているわけではありません。でも、すべてが取りこぼされているわけではなく、私たちは非常に有名なブランドに加えて多数の小さな新進スタートアップとも協力しています。ですから、あなたの会社が優れた技術力をもちながら一般には知られていないのなら、私たちの調査結果が当てはまるでしょう。また、お察しの通り、候補者を迎え入れることは、彼らをつなぎ止めることとは違います。

ブランド力を定量化するために、その会社のKloutスコア(いまだに存在しています)、Mattermark MindshareスコアGlassdoorのスコア(総合評価2)という3つの異なる尺度を使用しました。

ブランド力に関して面接結果を見ると、その影響は統計的に有意ではありませんでした。言い換えれば、候補者が話を進めたいかどうかや、候補者がその会社で働くことにワクワクしているかに関して、ブランド力は全く重要ではないことが分かりました。

これは少し意外だったので、さらに掘り下げてみることにしました。ブランド力は総体的には重要ではないかもしれませんが、面接者の評価か面接者が課した問題の評価が高くないときには重要なのでは? 言い換えれば、ブランドは二流の面接者を支える壁となるのでは? しかし、私たちのデータによれば、そうではありません。面接者の質を補正したとしても、ブランドは重要ではありませんでした。実は、私たちのプラットフォームで評価の高い上位10社のうち、半数にはこれといったブランドはなく、3社はベイエリア界隈では信頼を集めていても世界的には全く無名な中規模のYC企業(訳注:ベンターキャピタルであるYコンビネータが出資するスタートアップ)で、誰もが知る有名会社に近いのは2社だけです。

では、この調査の成果とは? おそらく、私たちに言える最も現実的なことは、ブランドは候補者を招き入れるためには大いに重要だと思われるが、いったん招き入れた候補者を失うかどうかは、どんなにブランド力があっても、その後の対応次第だ、ということです。

問題の選定

候補者を招き入れた後にブランドが重要でないのなら、何が重要なのでしょうか? ものすごく重要なのは、候補者に課す問題だということが分かっています。interviewing.ioについてのフィードバックが対称形式だったのを思い出してください。これは、面接者が候補者を評価することに加えて、候補者もまた面接者を評価することを意味し、候補者への質問の1つは、課された問題がどのくらい優良だったか、ということです。

問題の質は、候補者がこの会社と話を進めたいかどうかに関しては、極めて有意(効果量1.25でp < 0.002)でした。これは、候補者の成績が高い場合と低い場合の両方に当てはまりました。 優れた問題を共有できないのは明らかですが(やはり企業の面接ですから)、このプラットフォームで最も評価の高い問題と低い問題について候補者が述べざるを得なかったことは何か、調べることはできます。

高評価

> 問題が互いに積み重なっているので、それまでの作業が無駄にならず、解を改善する方法が見つかったという点が気に入りました。

> 単純なアルゴリズムだけではない問題を課されるのはいつも楽しいことです。

> 古典的な問題が出たのが実に良くて、このデータ構造の内部をさわった経験は何度かありますが、その時には試さなかったエッジケースと考察に心を開くことができました。

> 今まで受けたinterviewing.ioの面接の中で一番長い面接で、一番楽しめました! 単純なデータ構造から始めて、その上にアルゴリズムを実装するというやり方がとても気に入りました。小規模で簡単なプロジェクトに取り組んでいるような感じで、面白かったです。

> 面接者が興味深くて難しい問題を選んでくださったので、問題を解きながら勉強しているような気分になりました。これ以上、問題に改善の余地は思いつきません。彼と一緒に働ければ素晴らしいと思います。

> 比較的単純なアルゴリズムの問題(木構造を構築して巡回する)を選んで掘り下げた質問で、気に入りました。この問題はXXXX社の実際の製品に結び付けられていたので、玩具みたいな問題ではなく実際の問題の縮約版のような感じがしたという点も気に入りました。

> このサイトで出会った中で、お気に入りの問題です。現実に本当に適用できると思われる数少ない問題の1つで、実際の(または、おそらく実際の)ビジネス課題から採られていました。また、複雑さ、効率、ブロッキングなどの課題のなかにうまく織り込まれていました。

低評価

> 問題が素直でなく、かなり後になるまで関数やデータ構造が定義されなかったので、かなり多くの思考や理解が必要でした。たくさん考えたり理解したりする必要がありました。XXXXは勤務するには実に魅力的な会社ですが、面接の構成の一部は、もう少し親切な形でも良かったと思います。問題が何を問おうとしているのか分かるまでに長い時間がかかり、面接者は言語不問ではありませんでした。

> 問題を考える能力を発揮できる、もっと技術的な問題や設計の問題を期待していました。領域特化型の問題(正規表現)は、人が問題解決能力を見せる能力を制限します。ある人がよく調べた結果、美しい正規表現を思いつくことができても、その人が普段頻繁に正規表現を考えているのでないのなら、それは優良な査定(に役立つ)とは思えません。

> 一般的な良い問題ではありません。良い問題には、簡潔な拘束条件で複数の解があるべきです。

優れた面接質問の分析

  1. レイヤーの複雑さ(ウォーミングアップの問題を含む)
  2. つまらない要素がないこと
  3. 教科書的なアルゴリズム問題よりも、現実の構成要素か、その会社が取り組む事業への関連の方が好ましい。
  4. 古典的なアルゴリズム問題を問うのはOKだが、ある程度のニュアンスと深さを提示すべきであり、工程の中で応募者に何か興味深いものを教えることができるなら、より好ましい。

  1. “People will forget what you said, people will forget what you did, but people will never forget how you made them feel.(人々はあなたが言ったこと、あなたがしたことは忘れるだろうが、あなたの印象については決して忘れることはないだろう)” -Maya Angelou 

  2. ブランドと技術ブランドについては、それぞれに広く分岐展開できる別個のものだと考えることがとても重要です。例えば、Targetのブランド力は全般的に強力ですが、技術ブランドとしては最高ではありません(失礼)。一方Heapは、エンジニアの間では(interviewing.ioやそれ以外の両方で)トップクラスの評判を得ている職場の1つですが、総合的なブランド力はあるとは言えないでしょう。KloutスコアとMattermark Mindshareスコアは共に、ブランド力の数値化についてはそれほどひどいわけではありませんが、技術ブランドの強さに対してはあまり力を発揮できないようです(Targetが高く、Heapが低い)。それに比べるとGlassdoorスコアは、レビューを行う人たちにエンジニアリング重視の傾向があるため、少しは優れていると言えますが、それでもその差はごくわずかです。これを定量化できる良い方法をご存じの方は、ぜひご一報ください。もし私自身が行うなら、対象企業やその従業員のGitHubレポジトリや、その企業に投資しているのは誰なのか、といったことを探るでしょう。ただ、いずれにしてもそれは、この記事が対象にする内容からは外れています。