チームの習慣を助長する:マネージャーのための3つの科学的ヒント

チームで行っていることの大半は習慣に基づいており、そのかなりの部分はほとんど無意識のうちに行われています。

ある研究では、人間の行動の約40%は習慣に基づいているということが示されています。

もしこれが事実なら、その時間を最大限に利用しても良さそうです。

このブログでは以前にも習慣のことを話題にしましたが、今回は組織におけるアプローチを考えていきたいと思います。望ましい習慣を実践するために、管理職の立場からできることは何でしょうか?

以下で探っていきましょう。

1. 最小限の実行可能な習慣をデザインする

習慣をうまく取り入れるために1つだけ変えることがあるとすれば、それは習慣をできるだけ小さくするということです。

全ての従業員に負担を強いるような習慣では、賛同を得られないでしょう。大抵のマネージャーはこの点についてある程度は理解していますが、マネージャーが小さな変化だと考えることでも、広く受け入れられるには変化として大きすぎるという場合がほとんどです。

以前の記事で取り上げたように、Stanford Persuasive Tech Lab所長のBJ Foggは、習慣が複雑になればなるほどその実践にはより高いモチベーションが必要になるとして、小さな習慣の効用を提唱しています。

ここで問題なのは、マネージャーがコントロールできるモチベーションは限られているということです。理由としては、予算的な制限があることと、モチベーションの多くは内的なものであることが挙げられます。

これを解決する方法は、習慣をよりシンプルで、より身に付けやすいものにすることです。

また、習慣を小さくした方が良い理由は他にもあります。習慣は実のところ、他の記憶とは異なる脳の部位に保持されているのです。

University of CaliforniaとSan Diego Veterans Affairs Health Systemが『Nature』で発表した研究では、短期記憶に障害のある人が、学習したことを覚えていないにもかかわらずトレーニングによってタスクを遂行できるようになったことが示されました。

そのようなことが可能となるのは、習慣が大脳基底核という脳のより原始的な部位に保持されているためです。大脳基底核は、筋肉の制御、姿勢、そして信じられないでしょうがののしりの言葉直接関与しています。


注釈:習慣はここに保持される

つまり習慣は、マッスルメモリーと同じ脳の部位に保持されているので、ほとんど無意識的に行われるのです(実際、パーキンソン病を患った人は、筋肉の制御が損なわれる前に習慣が失われ始めます)。

脳のこの部位に働きかけるためには、ごく小さなタスクに絞り込むか、複雑なタスクを何度も何度も繰り返す必要があります。

したがってマネージャーは、習慣の中で必要不可欠でない要素は全て取り除くべきでしょう。習慣はやがて複雑になっていく場合もありますが、最初から複雑すぎる習慣は身に付けることが難しいためです。

いくつか例を挙げましょう。

  • 毎朝、その日のToDoリストを作るのではなく、その日の目標を1つ決めるように従業員をトレーニングする。

  • 新しいアプリケーションの機能を全て覚えるのではなく、重要な機能を1つだけ使うように従業員をトレーニングする。まずアプリケーションを使うこと自体を習慣にできれば、他の機能については後々トレーニングすることもできますし、従業員自身に色々試させることもできます。

  • 次のプロジェクトを達成するための詳細な計画を立てるのではなく、プロジェクトの最終期限を決めるように従業員をトレーニングする。小さな習慣の方が、大きな習慣よりも効果的というわけではありません。しかし、小さな習慣は実際に身に付けることができます。また、ほんの小さな習慣でも組み合わせれば、複雑なタスクを築き上げることが可能です。

小さな習慣を一度に1つだけ身に付けるようにチームをトレーニングしてください。それが、メンバーのマッスルメモリーに直接働きかける最善の方法です。

2. 引き金を明確にする

習慣とは思わず出てしまう行動で、脳の意識的な部位からの関与はほとんどありません。しかし、習慣のみが自然に出ることもありません。置かれている状況が引き金になるのです。

従業員が無意識にToDoリストを書いたり、新しいソフトウェアを使ったり、最終期限を決めたりすることはありません。たとえ、これらのタスクが従業員のマッスルメモリーに焼き付いていたとしても無理です。習慣自体が自然発生することはないのです。Duke Universityが発表した習慣の調査報告書によると、習慣は以下のようなきっかけがあり、それに対する反応として引き起こされます。

  • 状況: 同じ状況下で、あるタスクを何度も繰り返し行った場合、状況と習慣の関連性が密接かどうかは関係なく、習慣的な行動を引き起こす原因になり得ます。

  • 報酬: 賞罰が習慣性の行為を助長することは、よく知られています。これを当たり前だと思うかもしれませんが、大切なのでもう一度見直してみます。賞罰が与える影響を理解する上で重要なのは、予め関連させた目標とは完全に切り離せるということです。そのため、予め関連させた状況によって、この影響を全て引き出すことが可能です。

  • 連続性: 習慣とは、違う習慣の上にどんどん積み重なっていくものです。そのため、ある1つの習慣が他の習慣を呼び起こす状況を作ることになります。

状況がいかに大切かは軽視されがちです。Duke Universityの研究によると、大学を転校した学生は、観るテレビ番組、新聞、運動習慣がすっかり変わってしまったそうです。もっと正確に言えば習慣的な行動が見られなくなり、代わりに彼らの行動は意識的に制御されるようになったということです。

チームに習慣的な特定の行動をトレーニングするだけでは不十分です。特定の状況下で、新しい習慣を行うようにトレーニングする必要があります。

どのように行うのか、いくつか例を挙げましょう。

  • 従業員がその日の業務を開始する際に、新しい習慣を行うようにトレーニングする。

  • 年中行事を決める。

  • ランチの後か業務終了の前に新しい習慣を取り入れるように、従業員をトレーニングする。

  • 新しい習慣を既存のタスクの一部にする。例えば、あなたがサービス担当者にソーシャルメディアのプロファイルの確認を開始するようにトレーニングしているのであれば、メールをチェックした直後にプロファイルを確認するようにトレーニングすると良いでしょう。そうすればメールを閉じる行為が引き金となり、ソーシャルメディアのプロファイルを確認するようになります。

習慣はマッスルメモリーと同じ脳の部位に保持されることを覚えておいてください。引き金がなければ、習慣が行われることはありません。

習慣に対する引き金を作ることと、あなたのチームが習慣に慣れるようにトレーニングすることは、同じくらい重要なことです。

3. 習慣のトレーニングはほぼ100%が繰り返し

習慣をトレーニングするための鍵が繰り返しであるのは明白だと思うかもしれません。しかし、上述した2つの要素(小さな習慣を採用することと、習慣に対する引き金を作ること)を除いて、大半の訓練プログラムや似たような試みは、繰り返しに失敗するのです。

ある通説によると、新しい習慣を作るためには21日かかると言われています。これは、ある特定の状況においてのみ当てはまることであり、信頼性のある科学的な検証は一切行われていません。

University College Londonの研究によると、新しい習慣を形成するには平均で66日かかることが分かっています。

この研究では、参加者に身に付けたいと思っていた新しい日常的な習慣を選んでもらい、日々、選んだ習慣がきちんとできているか、そしてどの程度”無意識に”行えるようになってきたか参加者に尋ねました。参加者が選んだ習慣は、ランチの時に水を飲むといった簡単なものから、1日に15分間ランニングをするという難しいものまでありました。

総じて、習慣が自動的に身に付いたと感じるまでには、18日から254日かかりました。

簡単な習慣であるほど18日に近い日数で身に付けられるという結果でしたが(上記で簡単な習慣を強調しているのはそのためです)、1度チームをトレーニングするだけでは効果がありません。

チームに新しい習慣を身に付けさせたいのであれば、やり過ぎと思うほど繰り返し行わせることが必要です。

まとめ

  • 習慣はできるだけ小さなものをデザインしましょう。高尚な思想に対してではなく、マッスルメモリーに訴えかけるわけですから。

  • 習慣に、”引き金”、”合図”、または”状況”を組み込みましょう。あなたのトレーニングがどれだけ上手であっても、またはトレーニングをどれだけ頻繁に繰り返したとしても、何か引き金がない限り、習慣が行われることはありません。

  • やり過ぎと思うほど、何度も繰り返すことが重要です。最も簡単な習慣でさえも無意識に身に付くには18日かかり、より複雑な習慣になると最大で254日もかかるのです。