Sqwiggleが最初の課金ユーザを獲得した3つの方法

今回のブログ記事では、いつもとはちょっと違う話題を取り上げましょう。今日は、弊社が(2013年6月3日までに)経験したことを時系列で振り返り、簡単にまとめたいと思います。その狙いは、弊社の銀行口座に初めて55ドルが振り込まれるまでの詳しい経緯を皆さんにご紹介することです。

あの日は実にエキサイティングな1日でした。

1. まずは自社製品に集中

顧客を見つける

このビジネスを始めた当初、ビデオ会議サービス市場がすでに飽和していることは承知していました。別に私たちが、SkypeやWebExといった数十億ドル規模の大企業の存在を無視したわけではありません。そうした大手がすでに存在するにもかかわらず、この市場にはまだまだ非効率な部分があると私たちは感じていました。そこで、同市場に参入しようと決意したのです。

ビデオ会議サービス市場で何が起きているのかをエンタープライズ企業が全て把握するのは不可能です。それならば、他社製品の欠陥や不具合を足がかりにして、新たな会社を丸々1つ立ち上げることができるはずです。そこで私たちは、既存サービスの問題点を見抜いているごく限られた人たちに共感してもらえるような何かを作ろうと考えました。彼らが私たちのソリューションの有効性に気づき、最終的には弊社のエバンジェリストになってくれることを期待したのです。

誰にだって数百人分のGuy Kawasakiが必要です。

情熱を共有できるパートナーたちと仕事をした

起業するということは、ダビデであるあなたが、ゴリアテであるライバル社に一生懸命石を投げつけ、大勝利を収めようとするようなものです。気の弱い人には向きません。

現在のプロジェクトについて自分と同じくらい情熱的なパートナーを見つけ、そこから良い人間関係を構築していってください。カウフマン財団がまとめた、Noam Wasserman著の”Founder’s Dilemmas”(*直訳すると「創業者のジレンマ」邦訳はなし)というレポートによると、「潜在性の高いスタートアップが失敗する原因の約65パーセントは、人間の問題、つまりチーム内における人間関係の不和にある」とのことです。

製品をMVP化する

Sqwiggle社では、Eric Riesたちが提唱したリーン・スタートアップというマネージメント手法を積極的に用いています。その手法の核となる考え方の1つに、”MVP”(minimum viable product:実用最小限の製品)というものがあります。ベテラン起業家の方はこのパートを読み飛ばしてくれても構いません。おそらく過去にも同じ話を聞いたことがあるでしょうから。

製品をMVP化するとはつまり、製品の核となるコンセプトを最大限に生かし、その機能を必要最低限のものに限定するということです。要するに、実用可能な製品を作れという意味です。その次の段階では、同じプロセスを繰り返し、より幅広い顧客を迅速に獲得することを目指します。こちらの図を見ていただければ、私が何を話しているのか分かると思います。

この図は、Stephan Roockが、この素晴らしい記事のために提供してくれたものです。

とにかく、素早く動くことがスタートアップにおける最も重要な点です。MVPという考え方を採用すれば、より迅速に事業を軌道に乗せることができるでしょう。

2. 創業当初のデモンストレーション

Sqwiggle社が早期導入者を獲得するにあたって、デモンストレーションは間違いなく最も重要な課題でした。振り返ってみると、私たちのやり方がうまくいったのにはいくつかの要因があると思います。

a.) 製品サポートを充実させた。私たち創業者は皆、Help Scoutを通じて顧客からフィードバックが返ってくると、それに欠かさず返信をしていました。そして、顧客の要望を全て聞き入れ、然るべき対応をするよう心がけていました。2011年に行われたアメリカン・エキスプレスによる調査(この調査はHelp Scoutのブログ記事で取り上げられ、日の目を見ることになりました)によると、「アメリカ人のうち5人に3人(59パーセント)が、より良いサービスを求めて新しいブランドや新しい企業の製品を試したいと思っている」のだそうです。ですから、製品を発売して間もない頃は、カスタマーサポートが悪いなどという事態を何としてでも避けなければなりません。十分な時間をかけて、ユーザを幸せにすることに力を入れましょう。長い目で見れば、この作戦は必ず利益をもたらしてくれるはずです。

b.) 動画を作成した。その時私はソファに座っていたのを覚えています。製品の試作品作りに長時間取り組んだ日のことでした。1日の終わりに市場検証や世間からの注目を集める計画について仲間と話し合ったのです。動画に対して途方もない金額を使うなどということではなく、製品の魅力を目立たせるという唯一の目的を達成するためのアイデアを出し合いました。以下がディスカッションの結果です。(実際の動画になります)。

c.) 製品を使ってくれる人を見つけ、デモを使って宣伝した。デモビデオを作った夜、それをHacker Newsの”Show HN”に投稿することに決めました。今なら、Product Huntに投稿すれば同じような効果が得られるでしょう。

私たちの製品はものすごい数の票や注目を集めたわけではありませんが、投稿してから1時間も経たないうちに、1通の電子メールが送られてきました。送信者は、製品についての話題を取り上げたいと考えたTechCrunchのライターです。当時の私たちにとっては、この上ない申し出でした。

3. ファネルの厳密な適用

ドリップキャンペーン

実際に自動的に取引を成立させる過程の1ステップとして、ファネルを厳密に適用し、販売チームを作らなくても取引が成り立つようにしました。お金をかけずに取引が成り立つのなら、販売チームを雇う必要はありませんからね。

つまり、私たちが行ったのは、ドリップキャンペーンが順調に進み、ユーザのワークフローの中で適切なペースで進んでいるということの確認です。以下の図のような流れで進められるようにしました。

7日間のリテンション

アクイジションファネルでは、もう1つキーポイントがあります。リテンションです。つまり今やっていることについて本当に効果があるかとどうかを7日間で判断するわけです。以下のチャートは一例です。新製品のリリース後、7日のタイムスパンで分析したコホートを示しています。

このチャートは少し曖昧ですが、どのくらいのユーザがある特定の日に製品を使い、それから7日間にわたって製品を使い続けたかどうかが分かります。バグの多い製品をリリースしてしまったら、1番のように推移してしまうでしょう。

完璧でなくても課金を開始する

今ご説明したようなファネルを適用し、試作品に対しての自信が芽生えてきた時に、弊社はペイウォールを実施しました。しかし私自身は、翌日までに誰かが弊社の製品に対してお金を払ったとしたら、奇跡だと思っていました。

しかしなんと奇跡が起こったのです。弊社の製品を評価する美しい心を持ったユーザが、55ドルを支払ってくれました。

まとめ

製品の早期導入者に対して課金するタイミングをいつにしようかと悩んでも、そんな時期はいつまでもやってきません。手を加えるところは常に何かしらあるものなので、製品が完璧になることなんてないからです。できることと言えば、余分なものを加えず、自分の想定に従い、ユーザを増やしていくことぐらいしかありません。ですので、データを見て新たな洞察を得てください。それが、あなたの銀行口座に初めての振り込みがされることにつながる唯一の方法なのです。